ADHD(注意欠如・多動症)の大人は、要求されるレベルが高くなることで、さまざまな問題に直面することが多くなります。本稿では、ADHDの特性に基づく多動性・衝動性および不注意の具体的な症状を解説し、3つのタイプに分類してその特徴を述べます。また、感情のコントロールや職場・日常生活での困りごとについても触れ、大人になってからのADHDの特性がどのように影響するかを説明します。

主な症状:
ADHDは発達障害の一つで、不注意・多動性・衝動性が主な特徴です。複数の特性を併せ持つことが多く、どの特性が強く出るかは人によって異なります。仕事や生活で困難が生じ、忘れ物や計算ミスが多くなると、周囲から「やる気がない」と思われることもあります。落ち着きがない、失言などの症状は多動性・衝動性に関連しています。ADHDだけでなく、ASDやSLDなど複数の発達障害の特性を併せ持つ人も多いです。

ADHDの不注意とは、一つのことに長時間集中するのが難しく、外からの刺激で気が散りやすいことを指します。忘れ物や物をなくすことが頻繁にあり、この状態が6か月以上続くと診断の可能性があります。時には「感覚過敏」が原因で集中困難が生じる場合もあり、ADHDの人には自閉スペクトラム症(ASD)の特性が重なることもあります。

ADHDは「注意欠如・多動症」と訳され、「不注意」「多動傾向」が主な特性です。
不注意とは:
多動性・衝動性とは:
ADHDの特性の現れ方は人によって異なり、「DSM-5」によると次の3つのタイプに分かれます:
ADHDの原因はまだ完全に解明されていませんが、脳機能の偏りが一因とされています。

ADHDの人は衝動性から怒りなどの強い感情を抑えにくく、そのまま相手にぶつけてしまうことがあります。相手との関係が悪化し、後悔や自己嫌悪にさいなまれることがあります。また、物事をネガティブにとらえる特性があり、軽く指摘されたことでも重く受け止めてしまうことがあります。気持ちを切り替えるのが苦手で、対人関係に影響をきたすこともあります。負の感情をすぐに消すことはできず、無理に抑えようとするとストレスが溜まり、結果的に爆発する恐れもあります。怒りを爆発させないように対応する方法を身に着け、怒りの原因を冷静に考えて相手にうまく伝えることが大切です。仕事量の見直しや体調管理などでストレスを溜めないようにすることも重要です。
ADHDの特性や困りごとは、成長に伴い軽減することもありますが、大人になってから困難が増す人もいます。ADHDの特性によって、ミスや周囲とのギャップが目立つと社会性が欠けているととられ、自信を失ったり、ストレスからうつや適応障害などの精神疾患を引き起こす場合があります。こうした二次障害をきっかけに受診し、背景にADHDがあるとわかるケースも増えています。
ADHDの特徴がある人は、仕事の段取りが苦手です。複数の業務を同時にこなす必要があるにもかかわらず、どれを優先すべきか判断するのが難しいです。自分が面白いと思うことを優先し、必要な作業を後回しにしがちです。効率の悪いことを繰り返し、納期に間に合わなくなります。今の状況を的確に判断し、手順を考えて作業を進めるのが苦手です。
大人のADHDの特徴症状 ADHDは不注意・多動性・衝動性の3つの特徴が現れる発達障害の一つです。周囲に理解されにくく、仕事や学業、日常のコミュニケーションに支障をきたすことがあります。
大人の症状や特徴には次のようなものがあります:
ADHDの人の特性の現れ方は様々です:
ADHDの人は感情や欲求のコントロールが苦手で、「衝動性が強い」とは自分の感情や欲求をコントロールできないことを指します。衝動買いのように、自分の感情や行動にブレーキをかけられず、周囲から見ると突然の行為に見えることがあります。

職場や日常生活において次のような困りごとはありませんか?:
子供の頃はADHDの特性があまり目立たなかったり、周囲が受け止めてくれていたため、ADHDだと気づかれないことがあります。しかし、社会人になると、ミスが増えやすい環境に置かれ、ADHDの特性が日常生活や職場で困難を引き起こすことが増えます。
「ADHDかも?」と思ったときは、まず自分の特性を理解し、対策を立てることでストレスを軽減することができます。ADHDの診断を受けることも選択肢の一つです。
ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)は特性が異なるため、同じ困りごとが発生してもその原因は異なります。例えば、「仕事が終わらない」という問題の場合、ASDの人は細部にこだわりすぎて時間内に作業を終えられないことが多いです。一方、ADHDの人は優先順位をつけるのが苦手で、不注意から他のことに気を取られ、やるべきことを先延ばしにしてしまいます。また、コミュニケーションの苦手さについても、ASDの人は非言語的なコミュニケーションを理解しづらく、場に合わない発言をしてしまうことが多いです。一方、ADHDの人は注意散漫で話があちこちに飛び、衝動的に発言してしまうことがあります。問題の表面だけを見るのではなく、その原因を理解し、適切な対策を立てることが重要です。また、ASDとADHDは併存することが多いので、様々な解決策から自分に合ったものを見つけることが大切です。

発達障害の特性は個性の延長線上にあり、特別なものではありません。日本では、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障害/限局性学習症)など、類似する脳機能の障害による特性が低年齢で現れ、深い理解と支援が求められています。「発達障害」という言葉には「障害」という文字が含まれているため、重く受け取られることもありますが、この言葉はレッテルを貼るためではなく、生きづらさを和らげ、支援を結びつけるためのものです。大切なのは、努力しても成果が上がらない場合、その原因が努力不足ではなく特性によるものであることに気づくことです。そして、どのようにすれば能力を伸ばし、成果に結びつけ、生きづらさを和らげるかを考え、適切な環境を整えることです。