
ASD(自閉スペクトラム症)は発達障害の一種であり、知的障害が伴う場合と
伴わない場合があります。
特に知的障害がない場合、知的発達に
遅れがないため、子どもの頃には
学業成績や生活態度に問題が表れず、
診断や支援を受けないまま成人することも少なくありません。
しかし、大人になると対人関係や
コミュニケーションが複雑になるため、問題が顕在化します。
成人してからも人間関係や仕事で
うまくいかないことが続くと、
「なぜ周りの人と同じようにできないのか」「自分は普通のことができていない」と感じ、生きづらさや自己肯定感の低下を引き起こすことがあります。
そのような不安を抱え続けると、
不安障害やうつ病などの二次障害を発症することもあります。
一方で、ASDの診断を受けたことで
不安や落ち込みを感じる人もいるかも
しれません。
しかし、自分の特性を理解することで、得意なことや苦手なことを把握し、
対処法やスキルを身につけたり環境を
整えたりすることが可能です。
これにより、自分の強みを発揮し、
困りごとや生きづらさを軽減することができます。
つまり、自分自身の特性を理解することが、その人らしく過ごすための第一歩となります。
今回は、大人になって社会に出てから
気づくASDについて、
発達障害の基本的な内容にも触れながら説明します。
発達障害は、生まれつきの脳の機能に
関する障害であり、能力のアンバランスさから周囲に理解されにくいことが
あります。
発達障害の子どもは、対人関係や注意力の発達が遅れている一方で、
学力には問題がない場合もあります。
発達障害には、
ASD(自閉スペクトラム症)、
ADHD(注意欠如・多動症)、
LD(限局性学習症)があります。
ASDは、自閉症やアスペルガー症候群が2013年の「DSM-5」で
自閉スペクトラム症(ASD)
に統合されました。
ASDの主な特性には、「社会性の障害」(人との関わり方が独特)、
「コミュニケーションの障害」(円滑なコミュニケーションが難しい)、
「こだわり・感覚の過敏さ」(特定の事に強い興味を持つ、感覚が過敏)
があり、これらの症状は大きく3つに
分類されます。
幼少期の症状としては、言語発達の遅れが少なく、比較的社会適応が良好な
人から、発語がなく困難さが大きい人、知的障害を伴う人まで様々です。
ADHDは、「不注意」(注意力が持続しにくい、細かいミスを犯しやすい)、
「多動性」(落ち着きがなく、常に体を動かしたがる)、
「衝動性」(我慢できずに即座に行動してしまう)という3つの特徴を持つ障害です。
一部のADHDの人には、ASDや知的障害が併発している場合があります。
LD(限局性学習症)は、知的な能力に遅れはないが、特定の能力が極端に
できない障害です。
読み(読字障害)、書き(書字障害)、計算や推論(算数障害)などが該当し、
小学校低学年では1年程度、高学年以上では2年以上の遅れがある場合が
あります。
子どもの頃に気づかれず、
大人になってから発達障害であると
わかることもあります。
では、大人になってから発達障害の症状に気づくのはどのような時でしょうか?
大人になってから発達障害が指摘されるケースについて

発達障害は子どもの頃からという
イメージがありますが、近年では
「大人の発達障害」が注目されるようになっています。
多くの人は子どもの頃には気づかれず、大人になってから発達障害が明らかに
なることが多いです。
同じミスを繰り返して注意されたり、
言われたことをすぐに忘れたりして
周囲に呆れられることがあります。
発達障害の子どもの親として医療機関を訪れる際に、
自分自身も発達障害の特徴があると指摘されることもあります。
片付けが苦手で常に部屋が散らかり、
いつも探し物や忘れ物で慌てる。
大学を卒業して希望の会社に就職したが、同僚や上司との人間関係に悩む。
飲み会に行くのも苦痛で、出社すること自体を拒否するようになる。
子どもの頃には知的な能力の高さで乗り越えてきた人も、大人になり仕事をするようになるとその能力だけでは十分ではないことが増えます。
静かなタイプの子どもは周囲に迷惑を
かけることが少なく、
発達障害に気づかれずに大人になって
から困難さが目立つようになります。
このようなケースでは、もともと隠れていた発達障害が明らかになってきます。
また、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)は
単独で現れることもあれば、
合併していることもあります。
発達障害に気づかれずに成長した人々は、適応しようとして自分の限界を
超えて努力することが多く、結果として
うつ病や不安障害などの二次障害を発症することがあります。
子どもの頃は家庭や学校が支えとなり、親や先生がサポートしてくれますが、
大人になると自分で決断し、
行動しなければなりません。
仕事では人間関係の構築が必要不可欠
であり、ASDの人はこれが苦手で
トラブルが増えることが多いです。
大人になると誰も助けてくれず、責任を負わなければならず、失敗の代償も大きくなります。
ASDの特徴
ASDの人はコミュニケーションが苦手で誤解されやすく、
人との関わり方が独特であることが
あります。
人と関わりたいのに一方的であったり、相手の都合を考慮しなかったりすることがあります。
相互的なやりとりが苦手で、相手の会話や仕草、表情に対して適切に反応する
ことが難しいです。
例えば、話しかけられたら返事をし、
挨拶には挨拶を返し、相手が笑えば自分も笑うなどの自然なやりとりがうまく
できません。そのため、
コミュニケーションが円滑にならず、
孤立してしまうことがあります。
また、状況を的確に読んで臨機応変に
対応するのが苦手で、
上司や顧客に対して敬語を使わず、
思ったことをそのまま口にして相手を
怒らせることがあります。
急な変更に対応できず、想定外の事態が起こるとパニックになったり、
急な出張に対応できない
こともあります。
このような困難さが積み重なり、職場に居づらくなり、職を転々とする人も少なくありません。
発達障害を早期に発見し、その人に合った適切な支援を受けることが重要です。自分の特性を理解し、適切な対処法や
スキルを身につけることで、困難さを
軽減し、自分らしく生きることができるようになります。
ASDの良いところ
ASDの人には多くの良い面があります。
単調な作業を嫌がらずにやり抜く力、
自由な発想、既成概念にとらわれない思考、興味のあることへの高い記憶力、
独特の感性、関心のあることに対する集中力、真面目に物事に取り組む姿勢などが挙げられます。
ASDの人の関わり方のタイプ
ASDの人の関わり方にはいくつかのタイプがあります。
【人と相互に関わることが苦手】
ASDの中心的な症状として、
人と相互的に関わる能力や意欲に欠ける
ことがあります。
社会的なシグナルを理解できなかったり、パニックや感情の爆発を起こしたりすることがあります。
【ASDの4つのタイプ】
孤立群
小さい子どもに多いタイプで、
他人が存在しないかのように振る舞い、
こちらの働きかけにほとんど応じません。一人でいることを好み、
自分に必要なときだけ人と関わります。
他のタイプに変わることもあります。
受動群
他人が関わってくれればそれに応じることもありますが、自分から関わることは少ないです。
人に逆らわず、言われたことに従う傾向があります。
自分の気持ちや考えを表現するのが苦手です。
積極奇異群
積極的に人に関わろうとしますが、自分の関心事を一方的に話したり、
自分の要求があるときだけ人と関わろうとすることがあります。
相手の感情や雰囲気に無頓着なことが多く、社会的なやり方を理解していないことが気づかれないこともあります。
形式ばった大仰な群
青年期から大人に見られるタイプで、
比較的能力の高い人に見られます。
非常に努力して人付き合いのルールを
学び、それを守ろうとしますが、
時と場合に応じた微妙な対応が難しく、ぎこちない印象を与えることがあります。
ASDと診断されない場合の特徴
ASDの特徴には対人関係が苦手で強い
こだわりがあることが挙げられます。
症状があるものの、診断されるほどではない人も多く存在し、日常生活や社会生活で困難を感じるほどの症状が見られない場合もあります。
ASDはスペクトラム(連続体)であり、症状の強弱があります。
類似した特徴を持ちながらも、なんとかやっていける人もいます。
医学的にはASDと診断されない場合でも、ASDの人に対する対応方法が役立つことがあります。
例えば、家庭生活で強いこだわりを持つ人や、ぶっきらぼうな話し方で家族と
うまくコミュニケーションが取れない人などです。
まとめ 大人のASD
(自閉スペクトラム症)
大人になってから明らかになる発達障害
発達障害の特徴が子どもの頃には気づかれず、大人になってから顕著になることがあります。
隠れていた発達障害が原因で、
大人になってから困難さが目立つ場合もあります。
二次障害のリスク
発達障害に気づかれずに成長した人の中には、抑うつや不安が強く、二次障害が発生することがあります。
大人になると増える困難さ
自己決定力が求められる大人になると、人間関係の構築や失敗による代償が大きくなり、発達障害の特性からくるトラブルが増えることがあります。
ASDの特徴
人との関わり方が独特であり、
コミュニケーションが得意ではなく、
相互的なやりとりが苦手
臨機応変な対応が苦手で、想定外の事態に弱い
ASDの良い面
単調な作業にも取り組む意欲
独特の感性や記憶力
関心のあることに対する集中力
社会生活への影響
ASDの人は急な変更に弱く、これらの
特徴が積み重なって社会生活に適応することが難しい場合があります。
診断されないASDの特徴
ASDの特徴を持っているが、診断されるほどではない人が多く存在します。
症状があるけれど、それなりにやって
いける大人もいます。
障害はスペクトラム(連続体)のようになっており、症状の強弱がグラデーションのように存在します。
ASD対応の有効性
医学的にはASDと診断されなくても、ASDの人に対する対応方法が役立つことがあります。
家庭生活でASDの特徴が強く見られ、
こだわりが強くて家族の生活に影響を与える場合や、話し方がぶっきらぼうで
家族とうまくコミュニケーションでき
ない問題がある場合などです。
ASDの特性
発達障害の一つで、「対人関係・社会性における困難さ」「こだわりの強さや
柔軟性の乏しさ」が特徴です。
困難さは個人の「特性」だけでなく、
本人を取り巻く「環境」によっても
生じます。
環境の調整と自己理解
自分の特性や強み・弱みを理解し、
それに合わせた環境を選択したり
調整したりすることで、自分らしい人生を過ごす方法が見つかるかも
しれません。
以上が「大人のASD(自閉スペクトラム症)」についてのまとめです。
お読みいただきまして、ありがとう
ございました。