今回のご相談は、「最近とても疲れやすいのですが、これはうつ病と関係があるのでしょうか?」という内容です。結論から申し上げると、うつ病の症状の一つとして『疲れやすさ(易疲労性)』はよく見られるものであり、時間をかけて丁寧に対処していくことが大切です。
この記事では、うつ病に関連する疲れやすさの特徴やその背景、そして対策について、順を追って解説していきます。
うつ病とは、気分の落ち込みや意欲の低下といった「こころの不調」が長期間にわたり続く状態を指します。脳内の神経伝達物質、特にセロトニンのバランスが乱れることが一因とされており、心身両面にさまざまな影響を及ぼします。
主な治療は「休養」「薬物療法(抗うつ薬など)」「精神療法(認知行動療法など)」の3本柱で構成され、症状の重さや個人の状況に応じて組み合わせて行われます。
うつ病の症状は、大きく「こころ」「からだ」「行動」の3つに分けられます。
このように、「疲れやすさ」はうつ病の代表的な身体症状のひとつです。特に**「回復期」に入った頃、気分の落ち込みがやや落ち着いてきた段階で、疲れやすさが顕著に現れる**ことが多いとされています。

うつ病における「疲れやすさ(易疲労性)」は、単なる体力の問題だけではありません。以下のような、さまざまな要因が複雑に関係していると考えられています。
うつ病では脳内の情報伝達がうまくいかなくなり、疲れの回復が遅れたり、疲れを過剰に感じたりする傾向があります。
休職などによって生活リズムが崩れることで、体の回復力が落ち、少しの活動でも疲れてしまいやすくなります。
「前はもっと動けたのに…」という思いから無理をしてしまい、その結果、反動で強い疲労を感じることも。
人との関わりの中で過剰に気を使い、「気疲れ」が蓄積しているケースも少なくありません。これはうつ病の背景にある性格傾向とも関係があります。
疲れやすさが続くと、うつ病の回復そのものにもブレーキがかかってしまうことがあります。たとえば…
このような負のループを避けるためにも、疲れやすさへの対策は非常に大切です。
まずはうつ病そのものの治療を継続することが基本になります。疲れやすさは回復期に見られやすく、改善にも時間がかかるため、焦らずじっくりと治療を続けることが大切です。
「今日は少し調子がいいから」と急に無理をすると、反動で強い疲労感が出ることもあるため、調子がよくなった時ほど慎重に行動することが重要です。
急激に元の生活ペースに戻すのではなく、「今日は10分散歩してみよう」といった小さな目標から始めて、徐々に活動を増やすことが効果的です。
できれば、少しでも「楽しさ」や「達成感」を感じられる活動を選ぶと、モチベーションも保ちやすくなります。
休養の質を高めることもポイントです。何も考えず、何もせずに「休むことに集中する時間」を意識的に取ると、より効果的に疲れが取れます。
また、「アクティブレスト(軽い運動をしながら頭を休める)」という方法も、人によっては効果的です。たとえば、散歩やストレッチなどがこれにあたります。
うつ病の疲れやすさには、「緊張状態が続いていること」が関係していることもあります。そのため、日常的にリラックスできる方法をいくつか持っておくことも有効です。
深呼吸、ストレッチ、アロマ、音楽、ぬるめの入浴など、気軽に取り入れられる方法をいろいろ試して、自分に合ったリラックス法を見つけてみましょう。
また、「対人関係で気を使いすぎる癖」や「無意識の緊張状態」がある場合は、カウンセリングなどでその背景にある思考パターンを見直すことも有効です。

うつ病の回復過程において「疲れやすさ(易疲労性)」が続くことは決して珍しくありません。むしろ多くの方がこの症状に悩まされます。
原因は脳の働き、生活習慣、思考の癖など、さまざまな要素が絡んでおり、治療を続けていても改善には時間がかかる場合があります。
大切なのは、「うつ病の治療を続ける」ことを土台としながら、少しずつ無理のない範囲で活動を増やし、疲労回復やリラックスの方法を自分なりに工夫していくことです。
「前より疲れやすくなった自分」を責めず、今の自分に合ったペースで取り組みを続けることが、回復への一歩となります。