不眠症に悩まれる方からよく寄せられるご質問のひとつに、「睡眠薬はどのくらいの期間、飲み続けるべきなのか?」というものがあります。この疑問に対し/、精神科医としての立場からの答えは、「できるだけ早期に減薬を目指すことが望ましいが、睡眠への影響を考慮しながら慎重に進めることが大切です」となります。本記事では、睡眠薬の種類や特徴、依存性のリスク、減薬のタイミングや注意点、さらには薬以外の対策についても丁寧にご紹介していきます。不眠症に悩む方やそのご家族の参考になれば幸いです

睡眠薬は、その名のとおり睡眠を促すために使用される薬剤で、不眠症の症状に対して有効に働きます。近年は依存性の低い新しいタイプの薬も登場していますが、一般的な睡眠薬は、即効性がある一方で、依存や耐性のリスクを伴う場合があります。
不眠症にはさまざまなタイプがあり、それぞれに適した薬を選ぶ必要があります。
| 持続時間 | 薬の例 | 適応する不眠のタイプ |
| 超短時間型 | ゾルピデム | 入眠困難 |
| 短時間型 | ブロチゾラム | 入眠・中途覚醒の両方 |
| 中間型 | ニトラゼパム | 中途覚醒や早朝覚醒 |
| 特性 | 薬の例 | 有効なケース |
| 短い効果時間 | デエビゴ | 入眠困難 |
| 長い効果時間 | ベルソムラ | 中途覚醒 |
| 個人差が大きい | ロゼレム | 概日リズムの乱れなど |
不眠が続くことによって、精神面への影響も大きくなります。以下のような場面では、睡眠薬の使用が症状の改善に貢献することがあります。
特にベンゾジアゼピン系睡眠薬では、依存や耐性の問題が重要です。薬に頼りすぎてしまうと、次第に効果が薄れ、使用量が増えるリスクがあります。

症状が安定してきたら、睡眠薬の減薬が検討されます。しかし、減薬によって不眠が再発するリスクもあるため、慎重な対応が求められます。
薬の使用量を減らすためには、それを補完する非薬物的なアプローチが不可欠です。具体的には、以下のような方法が効果的です。
睡眠薬は、不眠症の治療において大切な役割を果たします。特に、精神的な不調の悪化を防ぐ意味でも非常に重要です。しかし、依存や耐性といった副作用リスクもあり、永続的な使用は望ましくありません。したがって、睡眠および精神状態が安定した時点で、徐々に減薬を進めていくのが理想です。その際には、薬に頼らずとも眠れるよう、生活習慣や考え方の見直しを含めた「睡眠衛生」の取り組みを並行して進めることが、安全で効果的な方法と言えるでしょう。
不眠に悩まれる方にとって、睡眠薬の使用とそのやめ方は非常に重要なテーマです。焦らず、自分のペースで、専門医と相談しながら取り組んでいくことが、回復への近道となります。