【自閉症スペクトラム(ASD)】ASDの特性の影響と症状の対策について解説しています

感覚過敏の特徴
発達障害のある人の中には、「触覚」や「聴覚」などの感覚が一般の人よりも過敏なため、敏感に感じる人がいます。 「水の流れる音が痛くてつらい」
「手に水が触れるのがとても不快」
など、普通の人では気にならないようなことでも、人によっては苦痛となる場合があります。
特に子供の場合、手洗いの「何」が
嫌なのかをうまく説明できないことがあります。
アルコール除菌ならできる、
温水なら触れられる、
濡れタオルなら問題ないなど、
受け入れられる方法は人それぞれです。 ASD(自閉スペクトラム症)の特徴がある場合、曖昧なことの理解が苦手なため、
見た目は汚れていない手を、
「いつまで手を洗えばいいのか?」
「どうやって洗えばいいのか?」
などの抽象的な指示が理解しづらいことがあります。
コミュニケーションの齟齬を防ぐため、イラストや写真で手順を示したり
手洗いの時間をタイマーで示すなど、
やり方を明確に伝える工夫が必要です。

フラッシュバックのケア
辛い記憶が鮮明によみがえっても、
それは過去の出来事です。
「もう過去のこと。今は大丈夫」と
紙に書いて、時々読み返しましょう。 フラッシュバックとは、以前経験したことが、ちょっとしたきっかけで急に
思い出されることです。
それは非常に鮮明で、まるで今現在、
起こっているかのように感じます。
ASD(自閉スペクトラム症)の人は、
辛い過去の経験を鮮明に記憶していることが多く、その記憶が突然蘇り、
以前と同じように感情が湧き上がって、
心が揺さぶられることがあります。 「子供の頃、親に厳しく叱られたのは辛かった」
「でも今は実家から離れて親とも距離を置いている」
「今は大丈夫。恐れることはない」
「今の自分は安全でしっかりと生きている」などと紙に書いて、
時々読み返しましょう。
同じことを考え続けると余計に苦しくなるので、書くことで思考から切り離します。カウンセリングも有効です。

発言前に少し時間を置くこと
正論や良かれと思って発言した一言で相手を怒らせてしまった経験がある人へ。 ADHD(注意欠如多動症)の傾向が強い場合、衝動性から相手の言葉を遮って話し始めたり、余計な一言を発したりすることがあります。
ASD(自閉スペクトラム症)の傾向が強い場合、見たまま感じたままを言葉にして嫌がられることが多いです。
「それは違うと思います」
「それは間違っています」
「こちらの方が良いです」など、
断定的で強い言い方をしてしまい、
相手が気分を害することがあります。 失言を繰り返して後悔することが多い人は、言葉を口に出す前に少し時間を取るようにしましょう。
「発言は心の中で3つ数えてから」
と決めておくのが良いです。
また、反射的に発言するのではなく
最後まで相手の話を聞くことも大切
です。 肯定的な相槌を打ちながら、
相手の意図を考え、どう答えれば良いのか、自分の言葉を選んだ上で発言するようにすると、相手を怒らせるような失言は減ります。

偏食がある理由
発達障害の子どもや大人の中には、通常の好き嫌いを超えた強い偏食傾向を持つ人が多くいます。
偏食の理由には、“感覚過敏”が関係していることもあります。
嗅覚が過敏なために
「マヨネーズなど特定の匂いがするものが食べられない」、
聴覚が過敏なために
「物を噛む音が不快で耐えられない」、口腔内の感覚が過敏なために
「コロッケの衣がトゲのように痛い」
など、通常の人には感じない感覚が鋭いため偏食になりやすい傾向があります。
また、想像力の特異性から
「初めて見る食材や料理を食べることができない」
「赤い食べ物が気持ち悪い」など、
想像の特異性や“こだわり”によって食べられないこともあります。
これらの理由は感覚過敏よりも理解されにくく、単なる思い込みやわがままと捉えられがちですが、それは誤りです。

ワーキングメモリの弱さをカバーするには
注意して意識しているのにミスしてしまう理由は、さまざまな特性が重なっているためです。
例えば、会社で日報を書くのを忘れる。このようなケースは、
ASD(自閉スペクトラム症)の人の場合、その“必要性”が理解できず優先度が低くなってしまうためかもしれません。
ADHD(注意欠如多動症)の人の場合は、意識があちこちに飛び「やらなければ」と思った次の瞬間に別のことが頭をよぎり忘れてしまうことがあります。
どちらのケースも、
大事なことは“忘れてしまうことを前提
に予防策が必要です。
言われたことや思い浮かんだことを一時的にとどめておく記憶の働きを
ワーキングメモリ」と言います。
発達障害のある人は、このワーキングメモリが弱いことが知られています。
情報の受け皿が少ないため、新しい情報が入ってくると既存の情報が抜け落ちやすくなります
ワーキングメモリの弱さをカバーするためには、情報の受け皿を外部に作ることが重要です
忘れてはいけない内容は、自分の脳内に記憶せず、メモ帳やスマホに記録することが有効です。

ストレスを抱えやすい・疲れやすい原因
定型発達の人が何気なく自然と無意識にできることでも、発達障害のある人は頭や心、体をフル回転させて対応することが多々あります。
そのため、周囲から見ると
「普通にしているだけ」でも、
多くのエネルギーを消費している可能性があります。
例えば、感覚過敏で、刺激に対して
ストレスを感じやすい
場合、
どのような困りごとがあるでしょうか?
皆さんも考えてみてください。例えば、
騒がしい工事現場で、勉強がはかどるでしょうか?
強い直射日光の下で、本が読めるでしょうか?
チクチクした服を着てリラックスできるでしょうか?
感覚に過敏性のある人たちは、一般的な人よりもストレスにさらされる機会が多く、神経をすり減らしやすい傾向があります。
あるASD(現在の自閉スペクトラム症、かつてはアスペルガー症候群)の成人の方はこう話していました。
「空気は読むものではなく解読するものだと思っています。
「私は常に状況を論理的に分解して言動を選択している」
だから疲れるのです」と。

睡眠の問題が多い理由
生まれつき脳機能の発達に障害があることは、小児期から行動面と情緒面に問題が生じることを意味します。
さらに、ASD(自閉スペクトラム症)と
ADHD(注意欠如多動症)は併存することが多く、睡眠障害を合併しやすいことが知られています。
持続的な注意力の低下、対人関係と学習面でのストレス気分や意欲の状態などが影響しているかもしれません。
結果として、睡眠の長さや質、リズムが不安定になることが推測されます。
寝つきが悪い、
ベッドに行きたがらない、
途中で目が覚める、
不規則な睡眠リズムになる、
昼夜逆転の生活、
朝、起きられない、
朝に目が覚めない、
起床時に疲労感が体に残る、
いびきなどの問題があります。
これらの問題は子供だけでなく、
大人にも
生じます。

こだわりとの付き合い方
ASD(自閉スペクトラム症)の人には、自分の好みのものや活動への強い
こだわり」があります。
これが周りの人や家族に影響を及ぼさなければ問題はありませんが、
他の人に影響を与える場合は相手の都合にも配慮が必要です。
特に家庭や仕事では、我慢していた
こだわりが表面化しがちです。
自分のこだわりが他人にとっては重要でないことを受け入れることが必要です。例えば、自分のコレクションが自分の部屋に収まっている間は、家族も文句を言いませんが、
リビングや廊下にまで広がると邪魔になります。
この場合、自分の部屋に収める必要があります。
人を巻き込むこだわりには注意が必要です。
家族の生活にも配慮し、邪魔にならないように工夫することが重要です。
また、自分の子供の進学先などにこだわり過ぎると、子供の人生に悪影響を与えることがあります。
相手がいる場合は柔軟に対応することが必要です。
プランAが理想でも、プランBやプランCも受け入れられるような
柔軟性を持つ練習が有効です。

得意と不得意の差が明確なだけ
発達障害の特性を持つ人は、他の人と同じようにできない面ばかりが注目されがちですが、同じようにできることもたくさんあり、他の人と比べて優れていることもあります
例えば、発達障害の特性を持つ人の中には、すべての記憶が絵や写真のように保存され、記憶力が非常に良い人や、
数字や音符を使って考えることが得意で、独学でパソコンやピアノ演奏ができる人がいます。
このような認識の違いは、発達障害の特性を持つ人の多くに見られるものです。発達障害があるからといって他の人と比べて劣っているわけではなく、見たり聞いたり触ったり味わったりする受け止め方や感じ方が独特であるために、得意なことと不得意なことの差がはっきりしてしまうだけなのです。
発達障害のある人は他の人と比べて劣っているわけではなく、飛び抜けて優れている部分もあります。

ASDの人に合う仕事と合わない仕事
発達障害の特性によって、適した仕事や適さない仕事があります。
重要なのは、その仕事が自分の特性と
興味に合っているかどうかです。

合う仕事
パソコン作業:対人関係のスキルが求められないため、接客が苦手な人に適しています。
黙々と作業をする仕事:静かな環境で
一人で集中できる仕事はASDの人に向いています。
コールセンターの仕事:クレーム対応ではなく、やるべきことが明確に決まっている場合、対応可能です。
決まった作業内容の仕事:作業内容が
きっちりと決まっているとやりやすい
タイプが多くいます。

合わない仕事
接客業:対人関係のスキルが必要な仕事は苦手とする人が多いです。
イレギュラーな対応が多い仕事:臨機応変に対応しなければならない場面が多い仕事は苦手です。
同時に複数のことを行う仕事:一度に多くのことをこなすのは苦手で、
一つの作業を淡々と行う方がうまくいきます。
感覚が敏感な環境:人の声、作業音、
電話の音、照明や太陽の光など、
感覚が敏感な人には辛いため、耳栓や
小部屋、衝立の利用が役立つことがあります。

大人になってから発達障害(ASD)
に気づく
発達障害の特性を持つ人の中には、
知的な遅れがないために周囲や本人も
障害に気付かず
、成人してから社会で様々な問題に直面し、自分に発達障害の特性があると気づくことがあります。

社会での問題
人間関係:会社員として働く中で、
なぜか相手を怒らせてしまったり、
大切な約束を忘れてしまったりして、
壁に突き当たることがあります。
家庭での問題:結婚して家庭に入り、
家事や育児がうまくいかず、片付けが
できなかったり、癇癪を起こして子どもを怒ってしまうことに悩むことがあります。

自分の特性を知ることの重要性
前向きな社会との関わり:自分の特性を理解することで、社会と前向きに関わることができるようになります。
自尊心の傷つき:しかし、自尊心が
傷つき
、ひきこもりの状態になる人も
います。
早期の理解と支援周囲の理解と支援
早い時期からの周囲の理解と支援が重要です。特性に合う仕事に就いたり、生活環境を整えるうえでも、大切なサポートです。