今回のテーマは「統合失調症は治療しないとどうなるのか?」というご質問に対するお答えです。
結論からお伝えすると、統合失調症は短期的にも長期的にも深刻な影響が出る病気であり、早期からの治療と継続的なサポートが極めて重要です。この記事では、統合失調症の概要から、治療しないことで起こりうる具体的なリスク、そして治療の大切さについて、わかりやすく丁寧に解説していきます。

統合失調症とは、主に脳の働きに異常が生じることによって、現実と自分の感じ方にズレが生じてしまう精神疾患です。悪化すると「幻聴」や「妄想」などが現れることが多く、脳内のドーパミンという神経伝達物質が過剰に働いてしまうことが原因の一つと考えられています。
この病気は、薬による治療(抗精神病薬)と、生活のリズムを整える精神科リハビリテーション、さらには福祉制度の活用など、多方面からの支援によってコントロールが可能です。
統合失調症の症状は、以下の3つに大きく分類されます。
統合失調症の治療には主に以下の3つのアプローチがあります。
治療を受けた場合、統合失調症の経過は以下のように段階的に進行します。
統合失調症を放置した場合、さまざまな問題が生じることが知られています。以下に、具体的な影響を詳しく説明します。
治療を行わないことで、脳の過敏な状態が続き、以下のような症状が悪化する傾向があります。
・陽性症状の悪化
幻聴や妄想がどんどん強くなり、「一日中幻聴が聞こえる」「常に狙われていると感じる」「興奮が抑えられず混乱する」といった深刻な状態に陥る可能性があります。
・陰性症状の悪化
意欲や感情の低下が進み、何もできなくなる「停止状態」に近づいていくことがあります。回復しても生活の立て直しが難しくなってしまいます。
・認知機能障害の悪化
思考力や判断力の低下が進み、後から治療しても十分な回復が難しくなることがあります。
治療を長期間行わずにいると、いざ治療を始めても症状が改善しにくくなる「治療抵抗性」と呼ばれる状態になることがあります。幻聴や妄想が慢性的に残る、陰性症状が目立つ、生活が立て直せないといった問題につながります。
自分が病気であるという認識(病識)が持てなくなると、治療の必要性を感じず薬を自己判断で中止してしまうことが多くなり、再発リスクが一気に高まります。
妄想や幻聴により、家族や友人との信頼関係が壊れやすくなります。攻撃的な言動に至ることもあり、関係が断絶することも珍しくありません。その結果、孤立し、治療や支援からも遠ざかってしまいます。
症状によるトラブルや作業の困難から、仕事を続けることが難しくなり、経済的な問題に直面します。障害者雇用や就労支援制度の利用には「治療の継続」が前提であるため、未治療の状態ではこれらの支援すら受けにくくなってしまいます。
治療を受けて安定している状態では、統合失調症による犯罪リスクは高くないとされています。しかし、幻聴や妄想、興奮状態が強いままで放置された場合、突発的なトラブルを引き起こしてしまう可能性が高まり、法的リスクも無視できません。
統合失調症は、適切な治療とサポートによってコントロールが可能な病気です。しかし、治療をしないまま放置してしまうと、症状が悪化し、生活全般や社会関係に深刻な影響を及ぼします。また、治療を後から始めたとしても、十分な回復が得られにくくなるケースもあります。
したがって、早期の治療開始と継続的なケアが何よりも大切です。

もしご自身や身近な方に気になる症状がある場合は、早めに精神科や心療内科を受診し、専門的な支援を受けることを強くおすすめします。周囲の理解と支えも大きな力になりますので、決して一人で抱え込まず、支援の輪に加わってください。