発達障害に関するご相談の中でも、「ADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)は違うのですか?」というご質問は非常に多く寄せられます。確かに、両者には重なる部分もあり、実際に両方の特性をあわせ持つ方も少なくありません。しかし、その特性や社会生活での困難の出方には明確な違いが存在します。本記事では、この2つの発達障害の違いや共通点、そして合併している場合の特徴について、わかりやすく丁寧に解説していきます。

発達障害とは、生まれつきの脳の機能の偏りによって、行動や感情のコントロール、人との関わり方などに特性が見られる状態を指します。中でもADHDとASDは、発達障害の中でも特に多く見られる代表的なものです。
これらの特性は、幼少期に気づかれることが多いですが、成長の過程で周囲からのサポートによって目立たなくなることもあります。そのため、なかには成人後になってから診断を受ける方もいらっしゃいます。
また、ADHDやASDは「治る」というよりも、「付き合っていく」ことが大切とされており、ストレスからうつ病や不安障害などの“二次障害”を引き起こすこともあるため、早期の理解と対応が重要です。
ADHDは、「注意欠如・多動症」と訳される発達障害で、主に以下のような特徴があります。
ADHDの方は活発でエネルギッシュな一方で、注意力の欠如によるミスや、行動の制御が難しい場面が多く見られます。ただし、対人関係では比較的柔軟で、友人が多い傾向にあるのも特徴です。
ASD(自閉スペクトラム症)は、主に以下のような特性が見られます。
ASDの方は「場の空気を読まない発言をする」と言われることがありますが、それは本人の意図とは異なり、周囲とのコミュニケーションのズレからくるものです。

ADHDとASDはともに「発達障害」に含まれるものの、その特性や日常生活での困りごとは大きく異なります。
このように、それぞれに違った生きづらさがあり、対応や支援の方法も異なります。
近年の研究では、ADHDとASDを同時に持っている(合併している)方が非常に多いことがわかってきました。文献によって異なりますが、合併の割合は3~7割程度とする報告もあります。
実際、精神疾患の診断基準であるDSM-5でも、両者の併存が明確に認められており、「ADHDかASDか」ではなく、「両方の特性を持っている」ケースが多いのです。

このように、合併していると、単独では見られないような「非典型的な特性」が現れることがあります。
ADHDとASDを併せ持つ方への対応は、単独の特性に対する支援よりも複雑になります。そのため、次のようなアプローチが有効です。
特に合併例では、一般論だけでは対応しきれないことが多いため、自分自身の特性を深く理解することが、対策の第一歩となります。
「ADHDとASDは違うのか?」という問いに対して、答えは「基本的には違うが、合併することも非常に多い」というのが正確な理解となります。
両者はともに生まれつきの脳の特性ですが、行動や感情、社会生活での困りごとには大きな違いがあります。そして合併している場合は、その人特有の特性が現れ、対応も個別化が求められます。
まずはそれぞれの障害の基本を知り、自分の中にどのような特性があるのかを見つめ直すことが、より生きやすい未来への第一歩となるでしょう。