発達障害には様々な種類があり、社会的な相互作用やコミュニケーションの困難、衝動性や注意力の問題、繰り返し行う特定の興味や行動などが一般的な特徴として見られます。
代表的な発達障害には注意欠如多動症(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、学習障害(LD)があります。
発達障害は個人によって症状や重症度が異なるため、個別の評価とサポートが重要です。
早期の発見と適切な介入が、発達障害を持つ人々が社会で成功するための重要な要素となります。
適切な専門家の支援、教育的な調整、療法などを通じて、発達障害を持つ人々は自己肯定感を高め、自己表現の機会を得ることができます。
さて、発達障害の人の中には、「匂いを感じにくい」「やたら味の濃いものを好む」などの特徴が見られることがあります。
また、子どもの場合、「転んでも泣かないことが多い」といったことが気になる場合、その原因は刺激に対する反応が低い「感覚の鈍さ」かもしれません。
これを「感覚鈍麻」と呼び、発達障害の中でも特に自閉症スペクトラム障害(ASD)に関連することが多いです。

感覚鈍麻とは、感覚に関する鈍い反応や感度の低下を意味し、触覚・聴覚・視覚・味覚・嗅覚などの
感覚処理や統合が正常とは異なる場合があります。
具体的には、刺激に対する感じ方が鈍く、適切な反応が得られないことが特徴です。
自閉症スペクトラム障害(ASD)の人々は感覚情報の処理や統合に困難を抱えることがあり、例えば騒音や光の刺激に敏感である一方、痛みや温度に対する感覚が鈍いといった特徴が見られます。
感覚鈍麻とは対照的に、「感覚過敏」という状態も存在し、特定の刺激を過剰に受け取る特徴があります。
感覚鈍麻や感覚過敏は、感覚に偏りがあることが原因です。
個人の感覚には差異があり、刺激の受け取り方は人によって異なります。
感覚の偏りが日常生活に支障をきたす場合、生活の工夫や支援が必要となることがあります。
感覚鈍麻の例としては、痛みを感じずにけがをしたり、熱いものを触ってやけどをするまで気づかないことがあります。また、暑さや寒さに対する感覚の鈍さがあり、温度調整がうまくできずに熱中症や風邪をひくこともあります。
感覚鈍麻の場合、強い刺激を求める「感覚探求」の行動が見られることがあります。
これは、強く床を叩く、踏みつける、体の一部を動かし続けるなどの行動が含まれます。
感覚鈍麻の原因はまだ完全には解明されていませんが、神経信号の伝達や処理の問題、神経系の発達の関連、遺伝的要因などが関与していると考えられています。
特に自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)の人々において、感覚鈍麻が見られることが多いです。
個人の状況や特性を考慮し、適切な評価とサポートを行うことで、感覚鈍麻の症状を理解し、対策を講じることができます。
感覚の過度な偏りと発達障害は密接に関係していますが、感覚の偏りがある人には必ずしも発達障害があるわけではありません。
また、発達障害のある人に必ずしも感覚の偏りがあるわけでもありません。
発達障害の診断には様々な要素が関与しており、専門的な評価が必要です。
発達障害の診療を行っている医療機関や発達障害者支援センターに相談することをお勧めします。

感覚鈍麻の特徴や困りごとには、さまざまなものがあります。
暑いか寒いかの判断が難しく、暑い日に厚着をして出かけると熱中症のリスクが高まり、寒い日に薄着で出かけると風邪を引きやすくなります。
適切な服装の調節ができないと体調を崩す可能性があります。
また、のどの渇きを自覚できず水分補給が不十分になることがあり、その結果、脱水症状が起こる可能性があります。
傷ができたり出血したりしても自覚がない可能性があり、手当や通院が遅れることで問題が悪化することがあります。
さらに、虫歯が進行しているにもかかわらず気づかず、治療が遅れる可能性もあります。
匂いや味が分からず、味の濃いものを好む傾向があり、腐りかけているものを口にすることもあります。
音に対する反応が弱く、友人からの声かけに気づかず無視してしまうことや業務の連絡事項を聞き逃すことがあり、これがトラブルに発展する可能性があります。
自分の体の大きさや感覚を捉えづらく、机や棚に体をぶつけやすいことがあります。
また、感覚を求めて体を動かしてしまい、動きの刺激を過剰に好むことがあります。
この場合、「感覚探求」が起こり、強く足踏みをしたり、他人に思いきりぶつかるなどの行動が見られることがあります。
これを「常同行動(自己刺激行動)」と呼び、首を振る、手をひらひらさせる、足をゆするなどの具体的な動きが含まれます。感覚を求める過程で自傷行為に発展することもあり、血が出るまで腕を掻いたり噛んだり頭をぶつけるなどの行為が見られることがあります。
平衡感覚(体のバランスを取るときに働く感覚)に鈍さがある場合、体の揺れや傾きを自身で調整することが難しく、刺激を求める感覚探求が起こります。
子どもの場合、頭を振りながら走る、ぐるぐる回る、回る遊具やブランコなどを好むことがあります。

感覚鈍麻に対する対策として、困りごとに応じた解決策を考えることが大切です。
例えば
・触覚の鈍さに対しては
温度計を使用して気温を確認し、服を調整することや、定期的に水分補給を行うことが有効です。
・痛みに対して感覚が鈍い場合は
家族や周りの人に相談して、気になることがあったら声をかけてもらい、治療や通院に行くようにします。定期的に歯科検診を受け、虫歯の悪化を防ぐことも重要です。
・嗅覚・味覚の鈍さに対しては
子どもの場合、周りの大人が口にするものが不適切でないかを注意深く見ることが大切であり、自分自身でも賞味期限や見た目を確認して判断する練習をします。
・聴覚の鈍さに対しては
声をかけても気づかれない場合、肩を叩くなどして注意を引く方法を試し、目の前に立って目を合わせてから話しかけることが効果的です。
また、口頭だけでなく視覚情報も活用し、紙に書くなどして伝え方を工夫します。
・固有感覚や平衡感覚の鈍さに対しては
机や棚に体をぶつけないよう、狭い隙間やトンネルをくぐる遊びや、体の大きさを意識する遊びを取り入れます。
・感覚探求の動きが見られる場合は
それを止めようとせず、感覚への欲求を満たす環境を整えることが重要です。
タオルやハンドスピナーなど、握ったり回したりできる感覚グッズを使用したり、椅子をバランスボールにするなどの対策も有効です。
感覚に関する発達支援を受ける選択肢もあります。
「感覚統合療法」は運動や遊びを通じて感覚を整える方法の一つであり、専門的な作業療法士(OT)によって治療されます。
自治体の療育センターやリハビリ、医療機関で行われるほか、自宅や学校でも遊びを通じて感覚統合を行うことができます。
感覚鈍麻の特徴が見られたら、困りごとに応じた対策を実践したり、専門家に相談すると良いでしょう。感覚鈍麻の影響を軽減し、個人がより快適に日常生活を送ることができるように支援することが望まれます。