【軽度知的障害】気づかれない理由や遺伝、併発する疾患などについて

知的障がいの有病率と男女比

知的障害の有病率は全人口の約1%で、年齢により変動します。男女比は、軽度では1.6 : 1、重度では1.2 : 1です。知的機能は知能検査で測定され、平均が100、標準偏差が15の検査で知能指数(IQ)が70未満の場合、知的機能が低下していると判断されますが、知能指数のみで知的障害を決定するのは避け、適応機能を総合的に評価します。重度の運動障害を伴う重度知的障害を「重症心身障害」と呼ぶこともあります。適応機能は日常生活での要求にどれだけ効率的に対処し、自立しているかを示します。例えば、食事の準備、人間関係、金銭管理などが含まれ、社会生活において重要です。

【軽度知的障害】気づかれない理由や遺伝、併発する疾患などについて

知的障がいの診断方法

知的障害の診断は、専門機関での問診や知能検査を通じて行われます。よく使用される知能検査には、「田中ビネー知能検査V」、「新版K式発達検査」、「ウェクスラー式知能検査」があり、対象者の年齢に応じて使い分けられます。

■田中ビネー知能検査V

2歳から成人までを対象に、子供が興味を持ちやすい検査道具を使用します。

■新版K式発達検査

「姿勢・運動」、「認知・適応」、「言語・社会」の3領域を評価します。

■ウェクスラー式知能検査

全体的なIQの評価だけでなく、個々の強みや弱みを総合的に判断します。年齢により、WPPSI(幼児)、WISC(学生児)、WAIS(成人)の3種類に分かれます。

知的障がいの分類と特徴

知的障害は軽度、中度、重度、最重度の4つに分類され、個人によって症状が異なります。

中度知的障害

  • IQは35~50程度
  • 言語や運動の発達が遅れる  
  • 身辺自立は部分的に可能

重度知的障害

  • IQは20~35程度
  • 言語や運動の発達が遅く、ひらがなの読み書きが限界
  • 情緒の発達が未熟で、保護や支援が必要

最重度知的障害

  • IQは20以下
  • 言語が発達せず、叫び声を出す程度
  • 物理的なものしか認識できず、親を区別できないことも
  • 身の回りのことに常に支援が必要

IQとは?

軽度知的障害の判断基準 知的障害の診断は、知的機能と適応機能の両方を評価して行います。適応能力は、日常生活や社会生活における全般的な能力を指し、測定は自分の強みと弱みを理解するために行います。知能指数(IQ)は知能の基準を数値化したもので、目的に沿って合理的に考え、効率的に環境を処理する総合的な能力を指します。軽度知的障害のある人のIQは50~70程度とされますが、IQが中等度でも適応能力が高ければ軽度に分類されることもあり、逆も然りです。知的機能が低くても適応能力が高ければ、一段階軽度と判断されることがあります。

軽度の知的障がいの症状には個人差がある

軽度知的障害の特徴には以下のものがあります。

  • 日常生活スキルには問題がない
  • 言語の発達が遅く、学力は小学生レベル
  • 漢字の習得が困難
  • 記憶や計画、感情のコントロールが苦手
  • 集団参加や友達との交流はできるが、コミュニケーションが未熟
  • IQが50~70程度

ただし、すべての特徴が当てはまるわけではありません。遺伝的原因による場合もありますが、親から子への単純な遺伝ではなく、正常な遺伝子や染色体が突然変異することで発症することが多いです。

安定した生活を送るために【軽度知的障がい】

自尊心が低く他者に依存的な傾向が見られることがあります。同年代と比べて劣っていると感じることで、その傾向が顕著になります。依存的な傾向が強いと騙されたり、犯罪に巻き込まれることもあります。知らないうちに犯罪に加担し逮捕されるリスクもあります。外部からの福祉サービスやカウンセリング、周囲のサポートを受けることで、安定した生活が送れます。

【てんかん】知的障がいに併発することがある

てんかんは脳が過剰興奮する疾患で、発作と呼ばれる意識障害や痙攣などの症状が現れます。原因は様々ですが、約3分の2は特定されていません。てんかんは幼少期に発症しやすく、高齢化により高齢者の発症も増えています。治療による発作のコントロールが可能なケースも多いですが、転倒などを防ぐために周囲の適切な対応が必要です。

早期発見の難しさ【軽度の知的障がい】

知的障害は、他の障害と併存していることが多く、目立たずに見過ごされることがあります。年齢別の症状は以下の通りです。

■乳幼児期(0歳~未就学児)

  • 言葉の遅れ
  • 簡単な質問に答えられない
  • 周囲の友達とうまく遊べない
  • 抽象的な概念の理解が難しい

■学齢期(6歳~15歳)

  • 日常生活の行動がスムーズでない
  • 対人関係が築けない
  • こだわりが強い
  • 言葉に幼さがある
  • 学校の勉強についていけない

■青年期(16歳以上)

  • 意思決定が苦手
  • 金銭トラブルに巻き込まれやすい
  • 計画的に行動するのが苦手
  • 記憶が難しい
  • 複数のことを並行して行うのが困難

これらの症状は他の障害の特性として表れることもあります。

軽度知的障がいは周囲に気づかれにくい

軽度知的障害は、周囲に気づかれにくい障害の一つです。学齢期になって困難を感じても、目立たないと診断されず、軽度の知的障害が気づかれないことがあります。本人の努力不足と責められることもあり、自尊感情が傷つけられることがあります。軽度知的障害であることを受け入れ、支援を受けることで生活の質が向上します。

軽度知的障がいの具体例

軽度知的障害のある人の具体例を挙げると、日常生活で一人で行えることが多いものの、コミュニケーションや学習においては困難を感じることが多いです。学習面では、漢字の習得が難しく、抽象的な内容の理解が遅れることがあります。また、感情のコントロールや計画的な行動が苦手なため、周囲のサポートが必要となる場合があります。具体例として、日常生活での金銭管理や計画的な行動が苦手なため、買い物や支払いでトラブルが発生することがあります。

軽度の知的障がいと遺伝

軽度の知的障害は、遺伝的な要因が影響することがありますが、親から子への単純な遺伝ではなく、正常な遺伝子や染色体が突然変異することで発症することが多いです。また、遺伝以外の要因として、出生時の脳の損傷や環境要因も影響します。遺伝的要因が影響する場合、家族内での発症が見られることがありますが、環境要因が主な原因である場合もあります。

軽度知的障がいを併発する疾患

軽度の知的障害は、他の障害や疾患と併発することがあります。例えば、発達障害や精神障害、身体障害などが併存することがあります。特に、自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害が併存することが多く、これらの障害が目立つため、軽度知的障害が見過ごされることがあります。また、てんかんや身体的な障害が併存することもあります。併発する疾患により、生活の質や支援の必要性が異なるため、総合的な評価と支援が重要です。

【軽度知的障害】気づかれない理由や遺伝、併発する疾患などについて

最後に

大切なのは、軽度知的障害の症状を理解し適切な支援を行うことです。また、軽度知的障害による抑うつ、不安障害などの精神疾患、引きこもり・暴力などの二次障害や知的障害を原因とした問題行動が見られる場合は、叱ったり責めたりせず、その行動の背景にある原因を理解することが重要です。「障害理解」と「障害受容」のスピードは、人によって異なります。無理に受け入れようとしても、心理的負担が大きくなりかねないので、適切に医療機関や支援機関、学校などと連携・相談しながら自分たちのペースで軽度の知的障害と向き合っていくことが大切です。

以上が、軽度知的障害について、気づかれない理由や併発する疾患などについての説明でした。