発達障害と知的障害は、どちらも幼少期から特性が現れやすく、成長や生活に大きな影響を及ぼす障害です。しかし、見た目や日常の困りごとだけで判断すると、その違いがわかりづらく、混同されることも少なくありません。
本記事では、発達障害の中でも代表的な「ASD(自閉スペクトラム症)」と「ADHD(注意欠如・多動症)」に絞り、知的障害との違いを4つの視点から解説します。また、両者の共通点や支援制度に関しても取り上げ、より適切な理解とサポートのあり方を考えていきます。

発達障害は、脳の発達にかかわる特性の違いにより、行動や思考、対人関係に独自の傾向が表れる障害の総称です。中でも代表的なものが、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)です。
いずれも知的能力にはばらつきがあり、知的障害と重なる場合もあれば、知的に問題がないケースもあります。

知的障害は、認知能力や社会的適応能力の全体的な発達の遅れによって、学習や日常生活に広範囲な支援が必要となる障害です。主に、IQ(知能指数)が70未満と評価されることが診断基準の一つとされています。
知的障害は、発達障害と同様に先天的・生得的に発症することが多く、生涯にわたる支援が求められることもあります。
両者にはいくつかの共通点も存在します。

知的障害は、知能指数(IQ)を基準に診断されるのが特徴で、IQが70未満であり、かつ日常生活の適応に困難が見られる場合に診断されます。
一方で、発達障害(ASDやADHD)はIQを直接の診断基準としません。そのため、知的能力が高い人も低い人もおり、むしろIQにかかわらず特性によって困難が生じる点が特徴です。
なお、発達障害と知的障害を同時に持つケースもあります(併存)。この場合は、発達の特性と知的な課題の両面に対応する支援が必要になります。
発達障害の大きな特徴の一つが、得意なことと苦手なことのばらつきが非常に大きい点です。たとえば、言語能力が高いのに人との会話が苦手だったり、記憶力が優れている一方で整理整頓が極端にできない、などです。
知的障害では、得意・不得意のばらつきが小さく、全体的にまんべんなく苦手なことが多い傾向にあります。ただし、発達障害と知的障害を併せ持つ人の場合には、ばらつきが大きくなることがあります。
発達障害は、能力の一部が突出していることもあり「できるはずなのにやらない」「怠けている」と誤解されがちですが、実際には特性により「できない」ことがあるという理解が必要です。
知的障害のある人は、全般的に生活スキルや社会的な適応が苦手であるため、全般的な援助が有効です。身辺自立、金銭管理、時間の見通しなど、日常生活の多くにわたる支援が求められます。
また、支援が不十分な場合や本人の困難が蓄積すると、**行動障害(自傷、他害、パニックなど)**が現れることもあり、これを防ぐには早期のサポート介入が重要です。
一方、発達障害のある人の場合、**困難な分野やその度合いに個人差が大きく、支援の内容も個別に合わせる必要があります。**またこちらも同様に、理解されず放置されることで行動障害やうつ病、不登校といった二次障害に至ることがあるため、早期からの支援介入が重要です。
支援制度の一つである「手帳制度」においても、発達障害と知的障害では対象となる手帳が異なります。
両者を併存している場合は、両方の手帳を取得できる可能性がありますが、実際にはサポート範囲が重なることが多く、片方の手帳だけでも十分であるケースが多いのが実情です。特に、療育手帳は更新の必要がないことや、対象サービスの幅が広いことから、併存している場合は療育手帳を優先して取得する人が多い傾向にあります。
発達障害(ASD・ADHD)と知的障害は、共通点もありながら、その特性や支援の仕方に大きな違いがあります。
特に、知的能力のばらつきや生活上の困難の出方、支援に使える制度(手帳制度)の違いは、支援の方針を考える上で重要な視点です。両者を併せ持つケースでは、二重に困難が生じやすいため、早期からのサポートがより一層求められます。
それぞれの違いと特性を正しく理解し、本人の強みを活かしながら、必要な場面で適切な支援が受けられる社会を目指していくことが大切です。