双極性障害の悪化を防ぐ生活習慣5つ

双極性障害(躁うつ病)は、うつ状態と躁状態という異なる気分の波を繰り返す精神疾患です。治療を受けていても、完全に気分の変動を抑えることは難しく、再発のリスクも高いため、長期的な視点での対処が必要です。薬物治療はその中心となりますが、日々の生活の中で行える工夫も、病状の安定や悪化の予防に大きく関わってきます。

ここでは、双極性障害を持つ方が、より安定した日々を送るために役立つ「5つの生活習慣」について、丁寧に解説します。


1. 規則正しい生活リズムを維持する

双極性障害では、気分の変動が生活リズムの乱れを引き起こしやすく、逆に生活リズムの乱れが気分の変動をさらに悪化させる、という悪循環に陥りやすくなります。そのため、まず大切になるのが、毎日一定のリズムで生活することです。

ポイント

  • 毎日決まった時間に起きて、決まった時間に眠る
  • 食事や入浴などの生活行動をパターン化する
  • 刺激の多い予定や突発的なイベントは控えめにする

また、飲酒や夜更かし、人間関係でのトラブルなど、気分を不安定にさせる可能性のある習慣を見直すことも重要です。一方で、散歩や軽い運動など、精神面の安定を助ける習慣は、生活に取り入れていくとよいでしょう。

規則正しい生活は、ときに「退屈」と感じることもありますが、その退屈さこそが気分を落ち着かせる土台となることを意識し、自分を守る手段として受け止めていくことが大切です。


2. ストレスマネジメントを意識する

双極性障害の気分の波は、ストレスの影響を大きく受けます。日々の生活の中で、ストレスにうまく対処する力を養うことも、気分の安定に欠かせません。

できることから始めるストレス対策

  • 穏やかなストレス発散法(散歩、趣味、音楽など)を見つける
  • 刺激が強すぎる対人関係とは距離を取る
  • 「我慢しすぎる」癖があるなら、少しずつ自分の気持ちを伝える練習(アサーション)をする

また、治療を続けていても「このままでいいのか」「自分は本当に良くなっているのか」といった気持ちが湧いてくることもあります。こうした思いを否定せず、自分なりに整理していくことが、治療との付き合いを楽にする一歩になります。


3. 薬を継続的に服用する

双極性障害の治療では、気分安定薬の継続的な服用が基本です。多くの場合、症状が安定した後も再発を防ぐために服薬が続けられます。しかし、安定してくると「もう薬はいらないのでは?」と感じたり、副作用が気になったりすることもあります。

続けるための工夫

  • 副作用が気になるときは、主治医と相談しながら調整する
  • 妊娠やライフイベントに合わせた薬の変更も慎重に検討する
  • 薬を続けることは、自分を守る選択であると理解する

突然の中断は再発のリスクを高めるため、どんな場合でも自己判断で薬をやめることは避けましょう。服薬に対する不安や葛藤は、主治医と共有し、少しずつ納得しながら進めることが大切です。


4. セルフモニタリングを習慣にする

自分の気分や体調を日々観察し、変化に早く気づけるようになることは、双極性障害の管理において非常に有効です。これを「セルフモニタリング」といいます。

セルフモニタリングの方法

  • 気分を数値で表す(例:+5=躁、0=安定、-5=うつ)
  • その日の活動内容と気分を記録して連動を見つける
  • 記録が難しいときは、毎朝・夜に簡単に気分を振り返るだけでもOK

この習慣が身につくと、気分の悪化の前兆に気づきやすくなり、早めに対応できるようになります。また、主治医に自分の状態を説明する際にも役立ちます。


5. 気分とは逆の行動をとる

双極性障害では、気分に任せた行動が病状を悪化させることがあります。うつ状態のときには動きたくなくなり、躁状態のときには過活動になりがちです。これを避けるために、「気分の逆をする」という方法があります。

状態別の行動の工夫

  • うつのときこそ、少しだけ動く(散歩、会話など)
  • 躁や軽躁のときは、意識して休む(外出を控える、静かな環境に身を置く)

うつのときに動くことも、躁のときに休むことも、どちらも自然にはできません。しかし、「いまはこういう状態だから、こう行動しよう」と意識して行うことが、気分の安定に繋がります。

そして、この行動を選ぶための土台になるのが、前述のセルフモニタリングです。自分の気分を把握することで、適切な行動を選びやすくなります。


まとめ──日々の積み重ねが安定を生む

双極性障害の治療では、薬の力に加えて、日常生活の工夫や自己理解がとても大切です。以下の5つの生活習慣を、できるところから少しずつ取り入れてみましょう。

  1. 規則正しい生活リズムを保つ
  2. ストレスマネジメントを意識する
  3. 薬を継続して服用する
  4. セルフモニタリングを習慣にする
  5. 気分の逆を意識して行動する

どれも完璧を求める必要はありません。少しずつでも続けていくことで、気分の変動は少しずつ穏やかになり、再発のリスクも減らすことができます。

「今の自分を守る」ための習慣として、生活の中に取り入れていけるといいですね。