犯罪を犯した障害者の中には、出所後も再び罪を犯してしまうことがあります。その原因としては、定住できる場所がないことや相談できる人がいないことが挙げられます。
このような状況により、彼らは負のスパイラルに陥ることが少なくありません。再犯を防ぐためには、地域で安心して生活できる福祉サービスや支援が必要です。また、身近な人々との関わりや支え合いも重要です。
2009年に地域生活定着支援センターが制度化され、2012年には全都道府県に設置が完了しました。
これらのセンターは、罪を犯した障害者が地域で安定した生活を送るための支援を行っています。

現在、罪を犯した障害者への支援はどのような状況にあるのでしょうか。
今回は、彼らが再び罪を犯すことなく
安定して自立した生活を送るための
サポートや支援について考えていきたいと思います。
再犯を防止し、共生社会を実現するためには、犯罪歴の有無に関わらず、
本当に支援を必要とする人が適切な支援を受けられるような環境と
支援ネットワークの構築・拡大が
不可欠です。
この目標を達成するためには、
国と地方、行政と民間、様々な分野の人々が連携して取り組むことが重要です。
障害者基本法は、障害の有無に関わらず、全ての国民が互いに人格と個性を
尊重し合い、共生する社会を築くことを目的としています。この法に基づいて、障害者の自立や社会参加を支援する施策が総合的かつ計画的に進められています。
障害者基本計画(第5次)は、SDGsの理念と連携し、
「誰一人取り残さない」
社会の実現を目指しています。
矯正施設に入所している障害者に対しては、司法手続きなどで配慮が行われ、
円滑な社会復帰を促進する支援も定められています。
再犯防止の観点からも、誰一人取り残さない共生社会の実現に向けた取り組みが行われています。
再犯防止推進法は、再犯防止施策の基本理念を定め、国や地方の公共団体の責任を明確にし、安全で安心した社会の実現を目指しています。

再犯防止推進計画は、再犯防止に向けた施策を総合的かつ計画的に推進するために策定されています。
国民の理解と協力を得ながら、再犯を防止するための計画的な取り組みを行い、社会全体で再犯防止に向けた取り組みを進めることで、国民が安全で安心して
暮らせる社会を築くことを目指しています。
犯罪を犯した障害者の動向と支援の重要性について述べます。
2016年の刑法犯の検挙者の中で知的・精神障害者の検挙者数は4084人(1.8%)でしたが、2021年には1254人(0.7%)に
減少しています。しかし、受刑者内での知的・精神障害者の割合は、2016年の2922人(14.3%)から2021年には2475人(15.3%)に増加しています。
受刑者全体の人数が減少しているにも関わらず、障害者受刑者の割合は上昇しているのです。
2020年の調査では、知的障害またはその疑いのある受刑者が全国で1345人存在し、再犯までの期間が短く、入所回数も多い傾向が見られます。
このように、障害者による犯罪検挙数は減少している一方で、受刑者内での割合は増加していることから、
支援と再犯防止の重要性が明らかです。
犯罪を犯した障害者の社会復帰支援についての現状を見てみましょう。
起訴猶予者などに対する支援は、法務省と厚生労働省が連携して取り組んでいます。具体的には、刑事司法手続きの初期段階にある被疑者・被告人などで、
自立が困難な障害者に対して、地域生活定着支援センターや検察庁、弁護士会、保護観察所などが連携して支援を行います。釈放後の支援としては、
福祉サービスの利用支援や地域生活への定着支援があり、
保護観察所は起訴猶予者への更生緊急
保護措置を実施しています。
これは一定期間にわたって重点的な生活指導を行う取り組みです。
矯正施設内では、福祉や社会福祉サービスのニーズを早期に把握し、円滑に利用できるよう社会福祉士や精神保健福祉士、介護福祉士などの専門職が配置されています。
また、「社会復帰支援指導プログラム」では、高齢者や障害のある受刑者に対して健康運動指導や基礎知識の習得を提供しています。
さらに、刑事施設内での障害者手帳の取得手続きや診察も行われています。
出所後の支援としては、住民票が消除された場合でも保健医療や福祉サービスの利用手続きを支援する体制が整っています。
帰宅後に住居が確保できない障害者受刑者に対しては、矯正施設出所後の
福祉サービス利用を円滑にするために
関係機関が連携しています。これには、矯正施設、地方更生保護委員会、保護観察所、地域生活定着支援センターなどが含まれます。
また、指定更生保護施設では、高齢者や障害者受刑者の特性に合わせた指導を
提供し、発達障害や他の障害を抱える
少年たちに専門的アプローチを行っています。
障害福祉サービス事業所が矯正施設出所者などの障害者を受け入れる場合、
専門的対応が求められます。
障害者総合支援法に基づき、地域生活を支援するための相談援助や個別支援に対して、サービス報酬の加算措置が設けられています。社会生活支援特別加算もあり、訓練系や就労系サービス事業所が
精神保健福祉士などを配置している場合は、矯正施設出所者などの障害者支援に対して報酬が評価されます。
法務省と厚生労働省は、
保護観察官とハローワーク職員からなる就労支援チームを設置し、
保護観察対象者などに対する就労支援を行っています。これには、
就労移行支援事業、
就労継続支援A型事業、
就労継続支援B型事業、
就労定着支援事業が含まれ、
社会復帰し働ける状態へのサポートが提供されます。
2023年3月の
「第二次再犯防止推進計画」では、
保健医療・福祉サービスの利用促進や
地域による包括的な支援を重点課題とし、犯罪歴に関わらず支援が必要な人々に適切な環境と支援ネットワークの
構築・拡大を重視しています。
国と地方、行政と市民、多様な分野が
連携して取り組むことが重要であり、
これにより、犯罪・犯罪被害が少ない
地域を目指し、障害者受刑者が必要な
サービスを受けられるよう支援を行っています。