うつ病の治療において、休職は非常に重要な選択肢の一つです。単なる「仕事を休む」ということにとどまらず、治療の一環としての休職には大きな意味があります。本記事では、うつ病により休職する際の3段階、「休養期」「リハビリ期」「復帰準備期」について丁寧に解説し、どのように過ごすことで安定した復職へとつなげることができるのかを考えていきます。
1. うつ病と休職の役割
うつ病は脳の不調により、気分の落ち込み、不安、意欲の低下といった「こころの症状」や、不眠、疲労、めまい、吐き気などの「からだの症状」を引き起こします。さらには、人との関わりを避ける、声が小さくなるといった「行動の変化」も見られることがあります。
治療の基本は、①休養、②薬物療法、③精神療法の三本柱です。このうち、「休養」は特に初期段階において最も重要で、ストレス環境から離れ、心と体をしっかりと休める必要があります。多くのケースで、この休養を十分に行うために「休職」が選択されます。
休職の期間には個人差がありますが、概ね3カ月を目安とすることが多いです。ただし、症状の重さや回復の速度によってはこれより長期にわたる場合もあります。大切なのは、病状の回復を優先し、焦らず段階的に復職を目指すことです。
2. うつ病休職の3段階
休職中の過ごし方には明確なステップがあります。ここでは、「前期(休養期)」「中期(リハビリ期)」「後期(復帰準備期)」の3段階に分けて、それぞれの目標とポイントを解説します。
【第1段階】前期(休養期):心と体を徹底的に休める

休職を開始して間もないこの時期は、ストレスから完全に離れ、心身の回復を最優先にします。症状が重く、日常的な活動すら困難なこともありますが、まずは「何もしないこと」を許すことが重要です。
この段階でよくあるのが、「何もできない自分」に対する罪悪感や不安です。しかし、これはうつ病の症状の一つであり、責める必要はありません。だるさや過眠は休養が進んでいるサインでもあります。
一方で、不安や考え事で頭が休まらない場合は注意が必要です。これは「体は休めていても心が休まっていない」状態であり、効果的な休養が妨げられている可能性があります。このような場合には、抗不安薬などの補助的な薬の使用や、カウンセリング、場合によっては入院を検討することもあります。
【第2段階】中期(リハビリ期):少しずつ活動量を増やす
症状がある程度落ち着いてきたら、次はリハビリ期に入ります。この段階では、日常生活の中で少しずつ活動量を増やしていくことが目標です。ただし、ここでも「仕事」に直結するような活動はまだ控えます。
たとえば、散歩や軽い運動、趣味の再開などがこの時期の活動として適しています。大切なのは、無理をせず、自分のペースでできる範囲から始めることです。活動量は一気に増やすのではなく、徐々に増やしていくことが、再発を防ぐためには有効です。
うつ病のタイプによっては、意欲の低下が強く、なかなか活動を始められないこともあります。その場合も焦らず、「昨日より5分長く外に出てみる」といった小さな目標を立て、少しずつ取り組んでいくことが大切です。
【第3段階】後期(復帰準備期):現実の復職に向けた準備

日常的な活動が安定して行えるようになったら、いよいよ復帰の準備に入ります。この時期は、仕事に近い環境での活動や、通勤練習、図書館やカフェでの作業など、より現実に即した内容を取り入れていきます。
また、復職前には、自分が再びうつ病を発症しないよう、過去のストレス要因や働き方についても丁寧に振り返ることが必要です。職場での人間関係、業務量、働く意義などについて自己理解を深め、自分なりの「ストレス対処法」を持っておくことが、復職後の安定につながります。
職場との復職に関する相談も重要なステップです。短縮勤務や異動などの配慮が可能かどうかをあらかじめ確認しておき、現実的な復職プランを組み立てましょう。
3. 復職後の注意点と再発予防
復職はゴールではなく、新たなスタートです。復帰直後は心身ともに疲れやすく、無理をすると再発のリスクが高まります。特に初期は「疲労対策」が最優先となります。
また、急激な業務負荷の増加や、職場内の人間関係によるストレスも再発の引き金となることがあります。そうした場合には、上司や産業医との相談を行い、必要に応じて配置転換や時短勤務を依頼することも選択肢です。
復職後も継続して抗うつ薬を服用しながら、安定を図ることが推奨されます。概ね半年から1年程度の安定期を経て、医師と相談のうえ薬の減量・中止を検討することになりますが、その後もストレス対処の意識を保つことが大切です。
まとめ:段階的な休職で「無理なく確実な復職」を目指す
うつ病による休職は、単なる「休む時間」ではなく、「治療の一環」として捉えることが大切です。前期(休養期)では心身を徹底的に休め、中期(リハビリ期)では活動量を回復し、後期(復帰準備期)で現実的な職場復帰の準備を整えていきます。
この3段階を無理のないペースで丁寧に進んでいくことが、再発を防ぎ、長期的に安定した社会復帰への近道となります。うつ病の治療には時間がかかりますが、自分自身の状態を理解し、必要な支援を受けながら進んでいくことで、きっと前向きな未来を取り戻すことができるでしょう。