双極性障害(いわゆる「躁うつ病」)は、うつ状態と躁状態という相反する精神状態を周期的に繰り返す病気です。特に「躁状態」は一見すると明るくエネルギッシュな様子に見えることがありますが、実はその裏にはさまざまなリスクや周囲への影響が潜んでいます。
この記事では、「躁状態の人とどう接すればよいか」という問いに対して、冷静さを保ちながらも無理のない関わり方を模索するための5つの実践ポイントを紹介します。
躁状態とは、気分が高揚し、過剰な自信や行動の加速が見られる状態です。人によっては非常に幸せそうに見える一方で、他者の意見に耳を傾けず、抑制のない言動や衝動的な行動により、金銭トラブルや対人関係の摩擦を生むこともあります。
代表的な症状としては、次のようなものが挙げられます。
これらは時に、深夜の長電話や一方的な誘い、感情の起伏の激しさとして現れ、周囲の人が対応に疲弊してしまうこともあります。
躁状態にある人と関わるとき、最も重要なのは「自分が巻き込まれすぎないこと」です。相手を思いやる気持ちは大切ですが、自分自身の心身の健康を損なってしまっては元も子もありません。以下の5つのポイントを参考に、現実的で冷静な関わり方を心がけましょう。
躁状態の人は周囲を強く巻き込もうとする傾向があります。時には無理な頼み事や過剰な誘い、過激な言動で感情的な反応を引き出そうとする場合もあります。
そのため、まずは「巻き込まれないこと」を意識しましょう。たとえば以下のような対応が役立ちます。
躁状態の人の感情に巻き込まれてしまうと、ついこちらも感情的な言動になってしまうことがあります。しかし、その反応が相手のさらに強い反応を引き出し、悪循環に陥ってしまうことも。
意識的に冷静さを保ち、相手の言葉や態度に対して過剰に反応しないようにしましょう。
躁状態にある人との会話では、相手がほとんど一方的に話しており、こちらの話す余地が少ないことが多々あります。そのため、伝えたいことがある場合は、複雑な説明を避け、短くシンプルに伝えることが大切です。
たとえば、
など、簡潔で伝わりやすい表現を選びましょう。
躁状態にある人は、時間や常識の枠を超えて関わろうとしてくることがあります。たとえば深夜に何度も電話をかけてくる、長時間話し続ける、突拍子もない提案をしてくるなど。
このようなときは、あらかじめ「限界設定(リミット)」をしておくことが重要です。
「ルールだから」と伝えることで、相手を直接否定せずに距離を取ることができます。
躁状態の相手に対する助言は、ほとんどがその場では受け入れられないことが多いです。自信に満ちた状態では、他人の意見を受け入れる余裕がなく、時には反発や怒りを招くことすらあります。
だからといって完全に関わりを断つのではなく、「助言はあまり届かないが、関わること自体には意味がある」と考えてください。躁状態を抜けたあと、「あのときのあなたの対応には感謝している」と言われることも少なくありません。
自分の消耗を最小限にとどめつつ、無理のない範囲で、できる関わりをしていく。それが長い目で見たときに、最も建設的な対応になります。
躁状態にある人との関わりは、非常に繊細で難しいものです。強い感情、過剰な言動、一方的なコミュニケーションなどが続く中で、周囲の人は気づかぬうちに大きなストレスを抱えることになります。
「支えたい」と思う気持ちは尊いものですが、自分自身の心と体を守ることもまた同じくらい大切です。
今回紹介した5つのポイント──
これらをヒントに、現実的でやさしい関わり方を見つけてみてください。冷静さと柔軟さのバランスを取りながら、無理のない距離で見守ることが、最終的には本人とのよりよい関係にもつながっていくはずです。