不安の解消法5つ

はじめに

日々の暮らしの中で、ふとした瞬間に押し寄せる「不安」という感情。これは私たち誰しもが経験する、非常に身近な心の反応です。ときには、この不安が日常生活に大きな影響を及ぼすこともあり、その背景には「不安障害」と呼ばれる精神的な疾患が関わっている場合もあります。

しかし、精神疾患がなくても強い不安を感じることは珍しくありません。そこで今回は、不安とは何か、不安障害についての基礎知識を紹介しつつ、「不安の解消法」を5つの方法にまとめて、丁寧にご紹介します。

不安と不安障害、その影響とは?

まず「不安」という感情について整理してみましょう。不安とは、これから先に起こるかもしれない出来事に対して抱く心配や懸念の気持ちで、しばしば身体的な緊張をともないます。元来、不安は私たちが危険を察知し、それに対処するために備わった、非常に大切な感情でもあります。

しかし近年では、その「危機に備える機能」が過剰に働きすぎてしまい、不安が独り歩きして精神に悪影響を及ぼすケースが増えています。たとえば、未来が見えないことへの不安、失敗への不安、あるいは理由のわからない漠然とした不安など、人によってその形はさまざまです。

代表的な不安障害と治療法について

不安が慢性的・強烈に続くことで、日常生活に支障をきたす場合、「不安障害」という診断がなされることがあります。不安障害は、不安の出方や生じる場面によっていくつかに分類されます。

代表的な4つの不安障害は以下の通りです。

代表的な4つの不安障害は以下の通りです。
  1. 社会不安障害(社交不安障害):人前に出ること、対人関係において極度の不安や恐怖を感じる状態です。
  2. パニック障害:突然起こる「パニック発作(強い心身の不調)」を繰り返す障害で、次の発作への不安も付きまといます。
  3. 全般性不安障害:特定の対象がないまま、日常のさまざまな事柄に対して慢性的に不安を感じ続ける状態です。
  4. 強迫性障害:頭から離れない考え(強迫観念)に駆られ、それを打ち消す行動(確認や繰り返し)を続けてしまう障害です。

治療法としては、「薬物療法(主にSSRIという抗うつ薬)」と「系統的脱感作法(あえて不安に向き合い慣れていく方法)」が基本となります。

不安障害以外でも見られる不安の現れ方

不安は必ずしも「不安障害」に限った症状ではありません。例えば、以下のような場合にも不安が強く出ることがあります。

  • うつ病に伴う不安:気分の落ち込みとともに、不安感が強まることは珍しくありません。
  • 統合失調症に伴う不安:脳の働きの過敏さから、強い不安や被害妄想が現れる場合があります。
  • ストレス反応としての不安:精神疾患とは言えないまでも、強いストレスを受けたときに一時的に不安が高まることがあります。

不安の「良い面」と「悪い面」

不安という感情は一見するとネガティブな印象を持たれがちですが、良い側面もあります。

不安の良い面
  • 危険を事前に察知し、回避することができる。
  • 緊張状態をつくり、集中力を高めることで行動を素早く起こせる。
  • 危機感を持つことで、対策や準備がしやすくなる。
不安の悪い面
  • 不安が持続すると心が休まらず、心身ともに疲弊する。
  • 不安に飲み込まれて、冷静な判断ができなくなる。
  • 不安を避けるあまり、行動や人間関係が制限される。

このように、不安には良し悪しの両面があります。問題なのは、不必要な場面で過剰な不安が続いてしまうこと。そういった時に、自分に合った方法で不安を和らげる術を持っておくことは非常に大切です。

不安を和らげるための「5つの解消法」

不安を和らげるための「5つの解消法」

ここからは、心の不安を少しでも軽くするために有効とされている「5つの方法」をご紹介します。

1. 深呼吸

呼吸は意識してコントロールできる数少ない身体の動きの一つです。深くゆっくりと息を吸って吐くことで、副交感神経が優位になり、心身がリラックスしやすくなります。特に、場所を選ばず、時間もかからず、道具もいらないという点で、日常的に取り入れやすい方法です。

ただし、深呼吸もやり方を誤ると逆に過呼吸のような症状を引き起こしてしまうことがあります。普段から落ち着いて練習することで、正しい呼吸法を身につけましょう。

2. 軽い運動

軽めのウォーキングやストレッチなどの運動は、体の緊張をほぐすことで精神的な不安も緩和されやすくなります。無理な激しい運動は逆効果になることがあるため、自分のペースで続けられる範囲の運動が理想です。

運動によって分泌されるエンドルフィンやセロトニンといったホルモンは、気分を明るく前向きにする効果があります。

3. 考えを紙に書き出す

不安に思っていることを頭の中だけで考えていると、次第に膨れ上がり、より不安が強くなることがあります。そんなときは、紙に不安や悩みを書き出してみましょう。可視化することで、自分が何に対して不安を感じているのかが明確になり、整理されていきます。

「書く」という行為自体がストレス解消にもつながります。

4. 身近な人に話す

信頼できる人に気持ちを話すだけでも、心は軽くなります。不安をひとりで抱え込むことが一番の負担になるため、「聞いてくれる人」がいることは非常に大きな支えです。

話す相手がいないと感じる場合には、カウンセラーや専門機関を頼ることも選択肢のひとつです。

5. 「今この瞬間」に意識を向ける(マインドフルネス)

不安の多くは「まだ起きていない未来」に対するものです。そうした思考にとらわれすぎないために、今この瞬間に注意を向ける「マインドフルネス瞑想」が効果的とされています。

目を閉じて呼吸に集中する、体の感覚に意識を向けるといった方法で、過去や未来から距離を置き、現在の自分と向き合う練習ができます。

おわりに

不安という感情は、人間にとって決して「悪者」ではありません。しかし、過剰であったり、日常生活に支障が出るような状態が続く場合には、心と体が発する「助けを求めるサイン」である可能性があります。

ご紹介した5つの方法は、どれも今日からすぐにでも始められるものばかりです。自分に合った方法を見つけ、少しずつでも不安とうまく付き合っていけるようになれたら、それは心の健康を守るための大きな一歩になるはずです。