うつ病は、強い落ち込みや意欲の低下、不安などが続く「脳の不調」です。治療によって急性期を乗り越えると、症状は徐々に軽減し、落ち着いた日常生活が可能になります。しかし、気分が落ち着いたとしても、「すっかり元通り」とはいかないケースも多く、意欲や活動量が思うように回復せず、生活に困難を感じる期間が続くことがあります。
本記事では、そんな「うつ病の回復期」に特有の症状について、代表的な4つをご紹介します。回復期の困難を理解することで、当事者の方やご家族、また身近な人を支える立場にある方が、どのように接すればよいかを考えるきっかけになれば幸いです。
まずは、うつ病の症状と治療、病期の流れについて簡単に整理しておきましょう。
うつ病とは、セロトニンなどの神経伝達物質の働きが低下することによって、気分や意欲、睡眠、体調などに様々な影響が出る「脳の機能の不調」です。主な治療は、以下の3つの柱に分かれます。
うつ病の経過は大きく3段階に分けられます。
回復期に入ると、落ち込みや不安といった症状は目立たなくなり、「もう大丈夫そうだね」と言われることも少なくありません。しかし、実際のところ、本人は依然として「やる気が出ない」「頭が働かない」と感じていることが多くあります。
このギャップが、回復期の難しさのひとつです。周囲の期待と本人の現実がすれ違いやすい時期でもあり、無理を重ねてしまうと再発のリスクも高まります。
以下にご紹介するのは、うつ病の回復期に特に見られやすい4つの症状です。見た目ではわかりづらくても、生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。

回復期において最も多くの方が悩まされるのが「意欲の低下」です。落ち着いてはいるものの、何かを始める“最初の一歩”がどうしても踏み出せない——そんな状態が長く続くことがあります。
よくある具体例:
影響:
うつ病では、気分の落ち込みだけでなく、「考える力」にも影響が出ることがあります。回復期になっても、記憶力や集中力、思考力の低下が続くことが少なくありません。
具体的な症状:
影響:
うつ病の大きな特徴の一つが「興味の減退」です。これは回復期になっても残ることが多く、趣味や新しい活動への意欲が戻らず、生活に彩りを感じにくくなります。
よくある具体例:
影響:
意欲や興味の低下とあわせて、「人との関わりを避けるようになる」こともよく見られます。外出する気力が出ない、連絡が億劫になる、話すことに集中できない——その結果、社会とのつながりが薄れがちです。
よくある具体例:
影響:

うつ病の回復期は、見た目には「元気そう」に見えることがある反面、内面では様々な困難が続いています。意欲が湧かないこと、集中できないこと、誰とも会いたくないと感じること……それらは「怠けている」のではなく、うつ病の一部であり、治療と同じくらい“理解”が必要な部分でもあります。
この時期は、「何かを頑張る」よりも「無理をしないこと」が大切です。1日1つ、自分のペースで小さなことに取り組んでいくことが、やがて大きな自信や希望につながっていきます。
そして、もし身近にうつ病から回復しようとしている方がいるなら、「頑張って」よりも、「無理しないで」「一緒にゆっくりいこう」と声をかけてあげてください。それが何よりの支えになるはずです。