統合失調症の急性期の症状5つ

統合失調症は、幻聴や妄想といった特徴的な症状が見られる精神疾患で、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることによって発症します。特に「急性期」と呼ばれる状態では、症状が急激に現れ、日常生活に著しい支障をきたすことも少なくありません。

この記事では、統合失調症の病気の概要をふまえつつ、急性期に見られる代表的な5つの症状を丁寧に解説します。

統合失調症とは?

統合失調症とは?

統合失調症は、脳の働きに不調をきたすことで、現実との区別がつきにくくなる「陽性症状」や、意欲の低下などの「陰性症状」、さらには思考力や判断力の低下といった「認知機能障害」などが現れる疾患です。

統合失調症の主な特徴

  • 陽性症状:幻聴、妄想など、現実には存在しないものをあると感じる症状
  • 陰性症状:無気力、感情の平坦化、会話の減少など
  • 認知機能障害:注意力や記憶力の低下、思考のまとまりのなさなど

統合失調症は、脳内のドーパミンという神経伝達物質の働きが過剰になることが一因とされており、その結果として様々な症状が現れます。治療には抗精神病薬を中心とした継続的な治療と、再発予防のための支援が重要です。

統合失調症の病期と急性期の位置づけ

統合失調症は、症状の経過に応じて次の4つの段階に分類されます。

  1. 前駆期:本格的な発症の前段階。不眠や不安、集中力の低下などが見られる
  2. 急性期:幻聴や妄想などが顕著に現れ、混乱や興奮状態が強くなる時期
  3. 休養期:症状はやや落ち着くが、意欲の低下など陰性症状が目立つ時期
  4. 回復期:精神状態が安定し、社会復帰や再発予防を目指す段階

この中でも急性期は、特に症状が強く、本人の混乱も大きいため、適切な治療と休養が不可欠です。

急性期における「脳の過覚醒」とは

急性期の背景には「脳の過覚醒」があります。これは、脳内のドーパミンの働きが過剰になることで、脳が常に興奮した状態になり、あらゆる刺激に過敏に反応するようになります。

この状態が続くと、幻聴や妄想といった症状が強く現れ、さらに不眠や精神的な興奮が悪循環を生むことで、病状が急激に悪化していきます。

統合失調症の急性期に見られる代表的な症状5つ

1.幻聴

幻聴とは、実際には存在しない声や音が聞こえると感じる症状です。統合失調症の急性期では、この幻聴が非常に頻繁に見られます。

よく見られるタイプの幻聴

  • 対話型幻聴:自分について話している声が聞こえる(悪口や噂など)
  • 命令型幻聴:自分に何か行動を命じる声が聞こえる(危険行動を促す場合も)
  • 注釈幻聴・思考化声:自分の行動を実況するような声、自分の思考が音声化される感覚

中でも命令型幻聴は、本人がその指示に従ってしまうことがあり、周囲への影響も大きいため、注意が必要です。

2.妄想

妄想とは、現実には存在しない事柄を本人が強く信じ込み、それを訂正することが極めて困難な状態です。中でも「被害妄想」が目立ちやすく、他人に攻撃されていると思い込んだり、自分が監視されていると確信したりします。

妄想の主なタイプ

  • 被害妄想:他人に害を加えられていると信じる
  • 関係妄想:無関係な出来事を自分に関連づけて考える
  • 誇大妄想・微小妄想:自分を過大または過小評価する(自分が神である/全く価値がないなど)

妄想が行動化すると、攻撃的な行動や過度な出費、極端な決断に至ることがあるため、周囲の見守りと医療介入が必要です。

3.興奮(精神運動興奮)

過覚醒状態が続くことで、精神的にも身体的にも興奮状態に陥ることがあります。些細な刺激にも敏感に反応し、大声を出したり、衝動的に動き回ったりといった行動が見られます。

興奮状態の主な特徴

  • 大声で話す、叫ぶ
  • 衝動的な動作、暴れる
  • 周囲に対する過剰反応

興奮が強まると、自傷他害のリスクも高まるため、薬物療法や必要に応じた入院措置がとられることがあります。

4.言動の混乱

急性期の患者さんは、思考のまとまりが失われ、言動が一貫性を欠くことがあります。話の内容が次々と変わったり、突然関係ないことを言い出すなど、周囲との意思疎通が困難になります。

言動の混乱の具体例

  • 話の筋が通らず、会話が成り立たない
  • 独り言や唐突な行動(踊り出す、大声を出すなど)
  • 外見的には意味不明な行動をとることも

このような混乱は本人の意思によるものではなく、病状によるものです。周囲が無理に説得しようとするより、専門的な支援が不可欠です。

5.昏迷(こんめい)

昏迷とは、意識はあるにもかかわらず、ほとんど体を動かさず、外部からの刺激にも反応しない状態です。興奮状態のあとに急に無反応になることもあり、重度の症状とされています。

昏迷時に見られる特徴

  • 声をかけても反応しない
  • 食事や水分が取れない
  • トイレなどの自発的行動がなくなる

昏迷状態が続くと、脱水や栄養失調などの健康リスクが高まるため、迅速な医療介入が求められます。また、再び急激に興奮状態へ移行する場合もあるため、注意が必要です。

統合失調症の急性期における対応と治療

急性期にこれらの症状が現れた場合、本人だけで対応するのは困難です。早期に専門医の診察を受け、適切な治療を受けることが非常に重要です。

主な治療の柱

  • 抗精神病薬の服用:脳内の神経伝達物質のバランスを整える
  • 環境調整:刺激を減らし、安心して休める環境を整える
  • 必要に応じた入院:興奮や混乱が強い場合、安全を確保するために入院治療が行われることも

まとめ

統合失調症の急性期は、脳の過覚醒状態を背景として、様々な症状が現れやすい時期です。特に注意が必要な症状として、以下の5つが挙げられます。

  1. 幻聴
  2. 妄想
  3. 興奮
  4. 言動の混乱
  5. 昏迷
早期発見と適切な治療が、回復への第一歩です。

これらの症状は、早めの治療により緩和し、安定した生活を取り戻すことが可能です。「おかしいな」「いつもと違う」と感じたときには、一人で悩まずに、ぜひ医療機関への相談を検討してみてください。早期発見と適切な治療が、回復への第一歩です。