ADHD(注意欠如•多動症)の診断基準と3つのタイプ

ADHD(注意欠如・多動症)は通常、小学校高学年頃には症状が現れ、気づかれることがあります。しかし、不注意優勢型の場合は見逃され、大人になっても残ることがあり、特に女性に多いとされています。多動性は子どもの間で年齢とともに落ち着くこともありますが、貧乏ゆすりやおしゃべりとして表れることもあります。衝動性は地道な努力が難しく、即時の報酬を求めたり、慎重に考えずに重大な決断をすることがあるかもしれません。大人の場合、交通事故や金銭問題、クレジットカードの過剰な使用、ギャンブルや異性関係への没頭などでリスクの高い人生になることがあります。今回は、ADHD(注意欠如・多動症)の3つのタイプや診断基準、ADHDに似た精神疾患について説明します。

ADHD(注意欠如・多動症)の人が家庭で抱える問題

ADHD(注意欠如・多動症)を持つ人は、職場では対応できることがある一方で、家庭では特に女性が大変さを感じることが多いです。ADHDのお母さんは、毎日同じルーティンや家事を続けることが苦手なことがあります。自分がうまくできないと感じながら、子どもに日常の習慣を身につけさせることは、さらに難しい課題です。地道に繰り返し指導するには忍耐と時間、労力が必要です。また、我慢するのが難しく、子どもにすぐ怒りをぶつけることがあり、子育てがうまくいかないこともあります。子育ての難しさから「私はうまく母親になれない」と自己評価が低くなり、自信を失ったり、子どもの未来に不安を感じることもあります。家事や日常の準備も不安の要因となります。家事や子育てが順調に進まないと、夫婦関係にも影響を与えることがあります。しかし、自分の特性を夫に理解してもらうことで、協力して克服することが可能です。

ADHD(注意欠如・多動症)の3つのタイプ

ADHD(注意欠如・多動症)には「不注意優勢型」「多動・衝動性優勢型」の2つのタイプがあります。これらのタイプは「静と動」といった対照的な特性を持っています。また、不注意と多動・衝動性の両方の特性が同時に見られる「混合型」も存在します。

不注意優勢型の特徴は以下の通りです。

不注意優勢型の特徴

  • ぼんやりとしたりボーっとすることが多い
  • 細かいミスが頻発する
  • 片付けや掃除などの作業を始めるのが難しい
  • 買い物中に大事なものを忘れることがある
  • 税金や保険の支払いを忘れることがある
  • 日常的なルーティンや家事が苦手
  • 書類の整理が苦手
  • 家や作業場が乱雑で計画性に欠ける
  • ASD(自閉スペクトラム障害)の特徴を持っている場合、興味があることに集中しすぎて他の作業が進まないことがある。

多動・衝動性優勢型の特徴は以下の通りです。

多動・衝動性優勢型の特徴

  • 落ち着きがなく、イライラしやすい
  • 退屈な状況で居眠りをすることがある
  • 他人のペースに合わせられずイラつくことがある
  • 即時の楽しみや報酬を求める傾向がある
  • 計画的な金銭管理や貯金が難しい
  • 地道な努力が苦手で、結果を急ぎすぎて能力を発揮できないことがある
  • 他人のペースや意見を尊重するのが難しい
  • チームワークを乱すことがある
  • 評価が本来の能力に比べて低く、昇進に影響を与えることもある
  • 反抗的な行動や新しい状況に適応する職場で成功することがある。

ADHD(注意欠如・多動症)の診断について

ADHD(注意欠如・多動症)の診断には、アメリカ精神医学会の「DSM-5」などが用いられています。以前の診断基準と比べ、大人の症状にも焦点が当てられています。不注意の9項目と多動性・衝動性の9項目があり、17歳以上の場合、これらの症状から5つ以上が該当する必要があります。「DSM-4TR」と比べて、大人特有の症状が追加されています。欲求不満に耐えられない、怒りっぽい、気分が不安定などの症状も見られ、学業や仕事に影響を与えることがあります。大人の場合、外部から問題に見えないことも多いですが、家族や同僚にとっては大変な状況になることがあります。また、一般的には問題ないように見えても、子どもとの関係だけが難しい場合もあります。

ADHD(注意欠如・多動症)ASD(自閉スペクトラム症)の違い

ADHD(注意欠如・多動症)ASD(自閉スペクトラム症)は、中心となる症状が異なります。ASDでは主に人との関わり方に関する症状が特徴で、ADHDでは集中力や行動、衝動のコントロールの問題が中心です。これらの症状は見た目では似ている場合もありますが、実際には大きく異なります。これらの違いを理解することで、適切な対処法を選ぶことが容易になります。例えば、遅刻の問題を考えてみましょう。ASDの遅刻の原因は、朝の支度の段取りが悪いことが多いですが、手順をリスト化してスケジュールに組み込むことで解決されることがあります。一方、ADHDの人は注意が散漫で、次々と違うことに気を取られがちで、支度が途中で中断されることがあります。彼らは、一度決めたことには集中できますが、それを続けるのが難しいことがあります。ADHDASDの人たちは、それぞれ異なる特性を持っており、遅刻の問題を含めて日常生活に影響を与える方法も異なります。適切なアプローチを選ぶために、これらの違いを理解することが重要です。また、ASDの人は変化に敏感で、新しいことに苦手意識を持つ傾向があります。一方、ADHDの人は同じことを続けるのが難しく、新しいことに興奮して取り組むことが多いです。新しいことに取り組む際、彼らはワクワクし前向きに対応できることがあり、意外とうまく対処できることもあります。ASDの人から見ると、ADHDの人は飽きっぽく、いい加減な態度に見えるかもしれません。逆に、ADHDの人から見ると、ASDの人は慎重すぎて進歩が遅いと感じるかもしれません。しかし、どちらの特性も個々に固有の強みと弱みを持っており、相互の理解が重要です。

発達障害の他のタイプやASDやADHDと間違えやすい精神疾患

発達障害や他の精神疾患には、いくつかのタイプがあり、ADHD(注意欠如・多動症)ASD(自閉スペクトラム症)と混同されやすい、または併発する場合があります。

限局性学習症(SLD)/ 学習障害(LD)

限局性学習症(SLD)/学習障害(LD)は、知能が平均的であるにもかかわらず、特定の学習分野において著しい苦手意識を抱く状態を指します。

  • 読字障害:読むことや読解が難しい。
  • 書字障害:読むことはできるが、書くのが苦手で、簡単な文章を書くのも困難。
  • 算数障害:簡単な計算が難しく、数や量の概念の理解が困難。

限局性学習症(SLD)の人々は、大人になっても仕事などで苦労することがあり、読むことや聞いた情報を理解しにくい、または書くことに極端に苦手なタイプなどがあります。努力しても認知的な困難が表れ、成果を上げにくいことがあり、学生時代の苦い経験が影響することもあります。また、ASDADHDの人々が限局性学習症を併発することもあり、複合的な支援が必要です。

うつ状態・うつ病

発達障害を持つ人にうつ状態うつ病が見られることが多いです。彼らはストレスを感じやすく、気分が暗くなりやすい傾向があります。努力が報われず焦りを感じ、自分を責めることで、うつ病に進行する場合があります。

不安症

不安症は、特定の状況で過度の不安を感じる状態を指し、疲労感や集中力の低下が見られることもあります。発達障害を持つ人々の中には、強い不安を抱く人も多く、日常の状況で通常以上の不安を感じることがあります。

双極性障害(躁うつ病)

双極性障害は、うつ状態と活気のある躁状態が交互に現れる状態で、ADHDに似た症状が見られることがあります。躁状態では自己制御が困難で、無計画な行動をとることもあります。ADHDの気分変化は短期間で収束しますが、双極性障害は周期的に繰り返されます。これらの症状は、ASDの特性と混同されることもあり、適切な診断と支援が重要です。

強迫症

強迫症は、同じ行動や思考を繰り返す症状を指し、ADHDの症状に似ていることがあります。また、ASDの人が適応能力を失うと強迫症状が現れることがあります。

統合失調症

統合失調症は幻覚や妄想、現実と異なる信念が特徴で、通常は中学生以降に発症します。行動や思考のまとまりが失われ、日常生活が難しくなることがあり、片付けができないといった症状が目立つ場合、統合失調症の可能性があります。

境界性人格障害(境界性パーソナリティー障害)

境界性人格障害は、自己や他者のイメージが不安定で、感情や思考の制御が困難な精神疾患です。感情の急変が見られることがあり、ADHDの刺激を求める行動とは異なり、他者との関係を強く求めます。ASDの対人関係の持ち方が境界性人格障害と似て見えることもありますが、それぞれの診断が重要です。

これらの症状や特徴は個々のケースによって異なりますが、適切な診断と治療が必要です。

以上が、ADHDの3つのタイプ診断基準、類似した疾患についての説明でした。