摂食障害を深く知る——29年間の経験から伝えたいこと

摂食障害という病は、ただ「食べられない」

「食べ過ぎてしまう」といった単純な問題ではありません。

その背景には、複雑な心理や過去の経験、対人関係のストレスなどが深く関係しています。

私は15歳のときに摂食障害を発症し、それから29年間、この病と向き合ってきました。

年齢を重ねるにつれ、症状は少しずつ落ち着いてきましたが

今でも強いストレスを感じると、過食嘔吐という行動に頼ってしまうことがあります。

これは、私にとって唯一の「ストレス発散方法」として機能してきたからです。

過食嘔吐の日々と、その背景

私は過食嘔吐を主とするタイプの摂食障害で、食べやすく、吐きやすいものを選んで摂取し

その後、胃の中に何も残らなくなるまで吐き続けることが習慣となっていました。

さらに、大量の下剤を服用して、ようやく心の中の衝動が収まる

そんな日々を長く繰り返してきました。

その背景には、複雑な人間関係や、幼少期の壮絶な家庭環境があります。

当時の私は、心の中がぐしゃぐしゃで、自分の気持ちを誰にも言えず

どこにもぶつけられない苦しさを抱えていました。

けれど、大人になるにつれ、過去の出来事が少しずつ風化し

それとともに過食嘔吐の頻度も減っていったのです。

また、職場の人間関係のストレスも大きな引き金になっていました。

けれど、転職や環境を変えることで、心が少し軽くなり、症状も緩和されていきました。

この経験から私は

「自分の心と身体を守るために行動すること」がいかに大切かを、痛感しています。

摂食障害とは何か?

摂食障害とは何か?

私の体験は一つの例にすぎませんが、摂食障害に悩む多くの人が同じように苦しんでいます。

摂食障害とは、主に「拒食症(神経性やせ症)」「過食症(神経性過食症)」を指します。

どちらも食行動の異常を伴う精神疾患で、深刻な健康被害を及ぼす可能性があります。

摂食障害は、特に10代〜20代の若い女性に多く見られます。

その多くが「もっと痩せたい」「太りたくない」という気持ちから

過度なダイエットに走ることをきっかけに発症します。

最初は軽い気持ちで始めた食事制限が、次第にエスカレートし、拒食過食に繋がっていくのです。

コンプレックスを持っている人ほど、自覚が乏しく、症状を悪化させやすいという特徴もあります。

特に思春期の女性が摂食障害を発症すると

無月経や骨粗鬆症など、深刻な健康問題に発展するリスクがあります。

摂食障害の原因

摂食障害の発症には、さまざまな心理的・環境的要因が絡み合っています。

たとえば、家庭内の過干渉、親からの過度な期待、兄弟姉妹との比較

学校や職場でのいじめや孤立、恋愛や友人関係でのトラブルなどが挙げられます。

真面目で責任感が強く、他人に迷惑をかけることを極端に避けるような性格の人は

ストレスを内に溜めやすく、そのはけ口として過食や嘔吐に走ってしまうことがあります。

摂食障害になりやすい人の特徴

摂食障害になりやすい人には、いくつかの共通する傾向があります。

  • 自己評価が低く、自信がない
  • 他人の評価に敏感で「良く思われたい」という気持ちが強い
  • 完璧主義で、白黒思考(0か100か)に陥りやすい
  • 弱音を吐けず、本音を誰にも話せない

こうした思考傾向を持っていると、ダイエットへの執着が強まり

体型や食事に対する過度なこだわりが生まれ、摂食障害に繋がる危険性が高まります。

摂食障害の種類

摂食障害には主に以下の2つのタイプがあります。

1. 拒食症(神経性やせ症)

拒食症は、体重増加への強い恐怖と、痩せたいという願望が過度になって発症します。

特に10代の女性に多く見られ

極端な食事制限を繰り返すうちに体重が危険なレベルまで落ちてしまいます。

症状が進行すると、体力の低下、内臓機能の障害、無月経

最悪の場合には死に至ることもあります。

拒食症には「制限型(食事を極端に減らすタイプ)」と

「過食・排出型(過食の後に嘔吐や下剤で排出するタイプ)」の2つがあります。

2. 過食症(神経性過食症)

過食症は、強いストレスや感情の揺れをきっかけに

コントロールを失って大量に食べてしまう病気です。

満腹感があっても食べることを止められず

食べた後には自己嫌悪に襲われ、嘔吐や下剤の使用といった代償行動を繰り返します。

私自身もこのタイプであり、「自分を責める気持ち」「他人に理解されない孤独感」といった心理が

症状をさらに深めていったように思います。

摂食障害の治療法

摂食障害の治療法

摂食障害の治療には、以下のような方法が用いられます。

1. 心理カウンセリング

摂食障害は「心の病」とも言われています。

専門のカウンセラーとの対話を通じて

自分の思考パターンや感情の動きを理解し、心の整理を行うことが大切です。

2. 対人関係療法

人間関係のストレスが摂食障害に関係していることも多いため

対人関係を見直す治療が行われることもあります。

特定の人との関係性を改善することが、症状の緩和に繋がることもあります。

3. 認知行動療法(CBT)

「太ることは悪いこと」「痩せなければ価値がない」といった思い込みを

現実的な視点で見直し、思考の癖を修正していく治療法です。

認知行動療法は、多くの研究で効果が実証されています。

最後に——回復への小さな一歩を

摂食障害は、心にも身体にも深い影響を与える病です。

けれど、適切な治療や支援を受けることで、必ず回復の道は開けます。

苦しんでいる方へ、どうか伝えたいのです。あなたは決して一人ではありません。

無理に症状をやめようとせず、まずは「今の自分をそのまま受け入れること」から始めてください。

そして、小さな一歩を踏み出すことを恐れないでください。

摂食障害と共に歩んできた私も

これからも自分の心と向き合いながら進んでいきたいと思っています。

同じように苦しんでいるあなたが、少しでも心安らぐ日々を取り戻せるよう、心から願っています。