「なんとなく体の調子が悪い」「検査では異常がないと言われたのに、症状が続く」
このような体の不調を感じているにも関わらず、原因がはっきりしないという方が近年増えています。その背景にある一つの可能性が、「自律神経失調症」です。
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れたことにより、全身にさまざまな不調が現れる状態を指します。
特に、精神的なストレスや不安、うつ症状などの影響で、自律神経のうち緊張を司る「交感神経」が過剰に働いてしまうことで引き起こされるケースが多く見られます。
このような状態になると、人それぞれの体質や生活習慣に応じて異なる症状が現れますが、ここでは代表的な5つの症状について詳しく解説していきます。

自律神経の乱れによって引き起こされる症状の中でも、比較的多くみられるのが「頭痛」です。
特に、病院で検査を受けても異常が見つからず、「緊張性頭痛」や「ストレスによる頭痛」と説明されるようなケースは、自律神経の不調を背景にしていることが少なくありません。
このタイプの頭痛は、肩こりや首のこりを伴って起こることも多く、デスクワークや長時間のスマートフォン使用など、身体的な負担とも関係しています。
また、腰痛、手足のしびれ、神経痛といった症状が併発する場合もあり、「痛み」の部位が変わる、または複数の部位に現れることが特徴的です。

自律神経は心拍のリズムを調整する働きも担っており、そのバランスが崩れると、「動悸」や「脈が飛ぶような感覚」が現れることがあります。
特に、急激な緊張や不安を感じたときに心拍数が急に上がり、自覚的に「心臓がバクバクする」と感じることがあります。
このような症状は、実際には心臓に病気があるわけではなく、精神的なストレスやプレッシャーに身体が過敏に反応しているサインであることが多いのです。
また、胸の痛み、立ちくらみ、疲れやすさといった症状も同時に見られることがあります。

ストレスを感じると胃が痛くなる、食欲がなくなるという経験をされたことがある方もいらっしゃるでしょう。
これは、自律神経が胃腸の働きを司っているためです。交感神経が過剰に働くと、胃の動きが鈍くなり、消化不良や胃痛、膨満感などの症状が現れます。
さらに、食事をすると気分が悪くなる、食欲が低下するといった消化器系の不調が長く続く場合、それは「こころ」と深く関係している可能性もあります。
特に、胃カメラなどの検査で異常が見つからなかった場合、自律神経失調症が関与していると考えることができます。

「息がしづらい」「呼吸が浅くなったような気がする」と感じたことはありませんか?
自律神経が乱れると、実際に呼吸はできているにも関わらず、「息苦しさ」を強く感じることがあります。
これは、精神的な緊張状態が持続することで、呼吸に関与する筋肉が硬直し、呼吸のリズムが乱れることが原因です。
過呼吸や喉のつかえ、胸の圧迫感といった症状もよくみられます。
呼吸に関わる症状は、不安障害やパニック発作の一部としても現れることがあり、単に身体的な問題として捉えるだけでなく、精神的な要因を視野に入れる必要があります。

最後にご紹介するのが「めまい」です。ふわふわとした浮遊感を感じたり、急に立ち上がったときに視界が回るような感覚を覚えることがあります。
こうしためまいもまた、自律神経失調症の代表的な症状のひとつです。
自律神経のうち、交感神経が過剰に働いていると、血圧や内耳の働きに影響を及ぼし、バランス感覚に乱れが生じます。
その結果、身体は正常に機能しているにも関わらず、「ふらつき」や「地に足がついていない感じ」が起きてしまうのです。
ここまでにご紹介した以外にも、自律神経失調症ではさまざまな症状が見られることがあります。たとえば、
といった症状も、自律神経の乱れが背景にある可能性があります。
これらの症状は、特定の病気ではなく、「こころの状態」と密接に関係していることが多く、ストレスの影響が強く疑われるケースでは、心療内科や精神科の受診を検討することが重要です。
自律神経失調症は、明確な病名というよりも、心と体のバランスが崩れたときに現れる「状態」を指します。症状は非常に多岐にわたり、人によって現れる部位や程度も異なります。
そのため、「何科に行けばよいかわからない」と感じる方も少なくありません。
もし、身体的な検査で異常が見つからず、それでも不調が続いている場合、または気分の落ち込みや不安などの精神的な症状を併発している場合には、心療内科や精神科の専門的な診断と治療が、症状の改善につながることがあります。
心と体は密接につながっています。
自律神経失調症の理解を深め、適切に対応することで、少しずつでも「本来の自分らしさ」を取り戻すことができるはずです。決して一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも、大切な一歩となるでしょう。