【ADHD(注意欠如・多動症)の特徴】日常生活の困りごとと対処法/DSM-5診断基準

今回は、ADHD(注意欠如・多動症)の人や、その傾向がある人(グレーゾーン)が日常生活や仕事で抱える困難、また、ASDとの共通点と違いについて、過去の動画を振り返りつつポイントを整理していきます。

ADHDの人は「のめり込みやすい」特性がある

ADHDの人は「のめり込みやすい」特性がある

特にADHDの特性を持つと、「今すぐ欲しい」、「今すぐやりたい」という衝動が抑えられず、買い物やアルコールなどに依存しやすくなります
インターネットやゲームに関しても、衝動が抑えられず、気がつくと何時間も続けてしまうことがあります。本や漫画には終わりがありますが、インターネットやゲームは区切りが難しく、やめ時がわかりません。

気になることは紙にメモしておき、時間があるときに調べたり、スマホやゲームに触れない時間を作ることをおすすめします。帰宅後に予定が決まっていないと、スマホやゲームに流れがちです。
帰宅後の計画をあらかじめ立てておけば、それに基づいて行動できるようになります
過集中や時間感覚の鈍さ、自分の体調の変化に気づきにくいと、食事や睡眠を忘れて没頭し、日常生活や健康に悪影響が出ることがあります。

【片付けが苦手】イライラの原因になることも

ADHDの人は、物を使い終わった瞬間に次のことを考えがちです。
玄関の鍵を開けて部屋に入ると、次のことを考えて鍵を無意識にどこかに置いてしまいます
この繰り返しで部屋は散らかり、置いた場所を忘れてしまいます

帰宅して散らかった部屋を見た途端、憂鬱になります
決まった場所に戻す習慣をつければ、片付けや探し物、忘れ物の悩みから解放されます。
物の置き場所を決め、使うたびにそこに戻す習慣をつけましょう。そのために必要な時間は1秒以内のものが多いです。まずは、何をどこに収納するか計画を立てましょう。
使う場所の近くに収納するのが基本で、細かくしすぎないようにしましょう。
収納場所が足りなければ増やすか、物を減らしましょう。
収納場所を増やすよりも、管理できる量に減らすことが大切です
すぐに戻せば、探し物の時間を最小限にできます。
物を使ったらその場で決めた場所に戻すようにしましょう。
服や下着を脱いだらハンガーにかけるか洗濯カゴに入れる習慣をつけましょう。

楽しみを優先して重要なことを忘れることも

ADHDの人は「先延ばしにしがち」です。
部屋の掃除をしようと思いつつ、好きな番組が始まると「掃除は後で」とテレビを見てしまいます。
やろうと思ったことや、やらなければならないことより、今の楽しみを優先しがちです
さらに「うっかり忘れてしまう」という特徴もあります。
先延ばしにしたことを忘れてしまい、さらに行動が遅くなります。
「面倒くさい」という気持ちが強く、気が進まない活動を先延ばしにすることもあります。
ワクワクすることだとすぐに行動できるのに、毎日の活動、繰り返し行うこと、評価されないことを先延ばしにしがちです。
家庭内では掃除や片付け、職場では報告書や伝票の整理、経費の精算、事務処理、片付けなどです。
それ自体は大変ではないのに、なかなかできなかったり、何度も催促されなければならなかったりするため、だらしないと思われがちです。

仕事や予定を忘れてしまう

仕事や予定を忘れてしまう

メモを取っても、メモをしたことで満足し、確認しなければ意味がありません。
玄関のドアやトイレの近くなど、日常生活で目につきやすい場所にメモを貼りましょう
普段の生活の中で目が行く場所にメモを貼れば、確認する習慣がつきやすくなり、間違った情報が修正されたり、予定が記憶に残りやすくなります。
生活の動線上でメモに自然と目が行くよう工夫しましょう。
ただし、パソコンの周りなどにメモを大量に貼ると、風景の一部となり、見なくなる恐れもあります。
こまめに貼りなおしたり、内容によって貼る場所を変えることが大切です。
スマホのメモアプリなどを活用し、時間を変えて段階的にアラームが鳴るように設定すれば、約束の日時を忘れることを防げます。
通知やリマインドをしてくれる設定にするなど、メモに気づけるような工夫も必要です。

感情のコントロールが苦手

ADHDの人は衝動性から怒りなどの強い感情を抑えにくく、湧き上がった怒りをそのまま相手にぶつけることがあります。
これにより、相手との関係が悪化しやすく、後になって後悔や自己嫌悪にさいなまれることもあります。また、物事をネガティブに捉える傾向があると、相手から軽く指摘されたことでも重く受け止め、ムッとしてしまうこともあります。
気持ちを切り替えるのが苦手だと、いつまでも引きずり、対人関係に影響することもあります。
イライラや怒りなどの負の感情をすぐに消すことは難しいですが、怒りを無理に抑えつけるとストレスがたまり、結果的に大爆発を招く恐れがあります。
しかし、湧き上がる怒りを爆発させない対応を身につけ、怒りをコントロールすることが必要です。
気持ちが鎮まったら、なぜそんなに怒りが湧いたのかを冷静に考え、相手にうまく伝えるようにしましょう。仕事量の見直しや体調管理など、普段からストレスを溜めないようにすることも大切です。

アンガーマネジメントとは

怒りの感情とうまくつきあうための心理トレーニングのこと。

新しい情報が入ると忘れやすい

ADHDの人は、不注意で意識があちこちに飛んでしまうことが多く、一時的に記憶に留める容量が少ないため、新しい情報が入ると別の情報が抜け落ちやすく、日々の細かいことを忘れがちです。
期限が自分にとって重要でないと、忘れてしまうこともあります。
期限のある書類を受け取ったら、その場で記入し、すぐに処理するのが最善です。
その場では「明日やろう」と思っていても、翌日には忘れてしまうことがあります。
提出が不要な書類でも、大切なものはなくす前に写真を撮って保管するのが賢明です。
駐車した場所を忘れて探し回った経験がある人もいると思います。
停めた場所の番号を写真に撮ったりそこに至る道を動画で撮ったりすれば、探す時間を省けます。
新しい情報が入ると過去の情報が抜け落ちやすい人は、すぐに処理するか写真やメモに残しましょう。あまりに頻繁だと、深刻な問題に発展する可能性があります。

ADHDと間違われやすい「精神疾患」とは

双極性障害は、うつ状態と活気のある躁状態が交互に現れる気分障害で、ADHDと診断されることがあります。また、反復性の躁状態に加えて、思考や行動に混乱が生じることが特徴的です。
ADHDと誤診されることがあるため、躁状態の期間や程度、生活への影響度をよく見極める必要があります。躁状態が軽度であったり、早い時期に治療を受けることで、双極性障害とADHDを区別することが難しい場合があります。
両方の特徴を持つ場合は、双極性障害の治療が優先されます。

【ADHDの診断基準】DSM-5による診断のポイント

【ADHDの診断基準】DSM-5による診断のポイント

DSM-5では、ADHDの診断には以下のような特徴が必要です。

  1. 不注意の症状が6つ以上存在し、12歳以前に症状が現れること。
  2. 多動性と衝動性の症状が6つ以上存在し、12歳以前に症状が現れること。
  3. 症状が複数の環境で現れること(例:家庭、学校、仕事場)。
  4. 症状が日常生活や社会活動に大きな影響を及ぼすこと。

不注意

  • しばしば細かいミスをする
  • 課題や遊びの活動で注意を持続するのが難しい
  • 聞いていないように見える
  • 指示を守らない
  • 物事を順序立てて行うのが苦手
  • 課題や活動を避けようとする
  • 物をなくしやすい
  • 外部の刺激に気を取られやすい
  • 日常の活動を忘れやすい

多動性・衝動性

  • しばしば手足を動かす、落ち着きがない
  • 座っているべき場面で席を離れる
  • 不適切な状況で走り回る
  • 静かに遊ぶのが苦手
  • しばしばおしゃべりが過ぎる
  • 質問が終わる前に答える
  • 順番を待つのが苦手
  • 他の人の活動に割り込む

ADHDは、「不注意」と「多動性・衝動性」の2つの側面で特徴付けられ、成人になっても症状が残る場合があります。成人期のADHDでは、不注意が特に目立つことが多いです。

【対応策】対策とサポート

  • 日々の生活において、定期的なルーチンを設定する
  • 重要な予定や締め切りを視覚化する(カレンダー、アプリなど)
  • 感情のコントロールを助けるアンガーマネジメント
  • 社会的支援を受ける(カウンセリング、ADHD専門のサポートグループなど)

最後に

  • ADHDの傾向を持つ人に特に役立つのは、 視覚的なリマインダー日常のルーチン を確立することです。
  • 怒りや不安などの 感情のコントロール を練習し、ストレスを軽減することが重要です。

ADHDの特徴を理解し、自分に合った対応策を見つけることが重要です。
支援を求めたり、工夫を凝らして日常生活を改善することで、ADHDを持つ人でも豊かな生活を送ることが可能です。

以上が、ADHD(注意欠如・多動症)の特徴、主に日常生活の困りごとと対処法についてでした。