女性の双極性障害の特徴4つ

双極性障害(躁うつ病)は、うつ状態と躁状態という正反対の気分状態を周期的に繰り返す精神疾患です。うつ病と似ているようで異なり、治療には異なるアプローチが求められます。この疾患は、男性にも女性にも等しく見られるものですが、臨床の現場では女性特有の傾向がいくつか認められます。今回は、女性の双極性障害に特有の4つの特徴について詳しく解説し、治療や日常生活における注意点を丁寧にお伝えします。

1. 双極性障害とは――4つの状態と治療の基本

双極性障害には「躁状態」「軽躁状態」「軽うつ状態」「うつ状態」という4つの主な状態があります。

  • 躁状態:気分が高揚し、自信過剰、浪費、性的逸脱、攻撃的言動などのトラブルが生じやすい時期です。
  • 軽躁状態:軽度の躁状態で、一見すると活動的で魅力的に見えることもありますが、無理をしすぎると悪化するリスクがあります。
  • 軽うつ状態:軽度のうつ状態で、日常生活はなんとか送れるものの、疲れやすさや意欲低下が見られます。
  • うつ状態:典型的なうつ病と同様に、強い落ち込みや無気力が続きます。

治療の中心は「気分安定薬」と呼ばれる薬物療法です。これに加えて、生活リズムの維持やストレス対処、社会資源の活用なども大切です。

2. 女性の双極性障害に見られる4つの特徴

特徴①:言葉で現れやすい感情の起伏

女性の双極性障害では、男性と比較して身体的な暴力ではなく、言葉による感情表現が目立つ傾向があります。多弁、早口、支離滅裂な発言、性的な逸脱傾向、パワハラ的言動などが見られることもあります。

一見、直接的なトラブルには至らないように思えますが、対人関係に深刻な影響を与えることが多く、職場や家庭での人間関係に不和をもたらし、孤立に繋がることがあります。

また、女性は「双極性障害Ⅱ型」(軽躁状態とうつ状態を繰り返すタイプ)になりやすい傾向があり、激しい躁状態には至らないため、性格の問題と誤解されやすいという特徴もあります。

特徴②:気分の波が短期間で変動しやすい

女性では、短いスパンで気分の変動を繰り返す「ラピッドサイクラー(急速交代型)」が比較的多く見られます。これは1年間に4回以上のエピソード(躁・うつ・混合)が起こる状態を指し、気分が安定しにくく、本人も周囲も困惑しやすい状況になります。

自分の軸が定まりづらく、数日単位で気分や行動が大きく変わることもあるため、「気分屋」「気まぐれ」などと誤解されることも少なくありません。

特徴③:他の疾患との見分けが難しい

女性の場合、症状が比較的軽いことが多く、また短期間での気分の波が中心となるため、双極性障害と気づかれずに性格や気質の問題として片付けられてしまうこともあります。

さらに、以下のような疾患とは症状が類似しているため、正確な診断が難しいのが現実です。

  • PMS・PMDD(月経前症候群・月経前不快気分障害):生理周期とともに気分の変動が起こるため、周期性のある気分の波と混同されやすい。
  • ADHD(注意欠如・多動性障害):衝動性や不注意が見られ、気分の浮き沈みが激しいケースでは双極性障害と似た様相を呈する。
  • 境界性パーソナリティ障害:感情の調節が難しく、対人関係の不安定さや強い感情反応が見られ、ラピッドサイクラーとの見分けが困難。

これらの疾患との鑑別診断が非常に重要であり、専門的な精神科医の診察が不可欠です。

特徴④:薬の選択に慎重な配慮が必要

双極性障害の治療には気分安定薬が使われますが、多くの薬が妊娠との相性に課題を抱えています。たとえば、リチウムやバルプロ酸、カルバマゼピンなどは胎児に影響を及ぼすリスクがあるため、妊娠を希望する女性には慎重な薬選びが求められます。

  • リチウム:躁状態・うつ状態の双方に効果があるが、胎児への影響が強く、定期的な血中濃度の測定が必要。
  • バルプロ酸:特に躁状態に効果的だが、胎児奇形のリスクが高く、妊娠を希望する女性には不向き。
  • ラモトリギン:うつ状態に対して効果が期待できるが、薬疹のリスクがあり使用には注意が必要。
  • オランザピンなどの抗精神病薬:気分安定作用があり、妊娠時の代替薬として検討されることもある。

妊娠を優先するか、症状の安定を優先するかによって薬の選択が異なるため、主治医と十分に相談しながら個別に判断していくことが大切です。

まとめ:女性の双極性障害は「気づきにくさ」と「波の強さ」に要注意

双極性障害は、うつと躁の波を繰り返す精神疾患で、誰にでも起こりうるものです。女性においては特に以下の4つの特徴が目立ちます。

  1. 言葉で感情が出やすく、対人トラブルに繋がりやすい
  2. 気分の波が短期間で大きく変動しやすい
  3. 他の疾患との見分けが難しく、誤診されやすい
  4. 薬の選択に妊娠などを踏まえた慎重な配慮が必要

しかし、正しく診断され、適切な治療を受けることで、多くの人が安定した日常生活を取り戻すことが可能です。気になる症状がある場合や、「何かおかしいな」と感じたら、早めに専門機関を受診することをおすすめします。早期に気づき、支援を得ることが、回復への第一歩です。