「過呼吸を何度も繰り返してしまう」というお悩みを抱えている方は少なくありません。呼吸が突然苦しくなり、息を吸っても吸っても足りないような感覚に襲われる――そのときの不安や恐怖は、経験した人にしかわからないつらさがあります。本記事では、過呼吸の正体や背景にある可能性、対処法、そして治療について、丁寧に解説していきます。
まず「過呼吸」とは、呼吸が必要以上に速く深くなってしまう状態を指します。医学的には「過換気症候群」とも呼ばれ、急に息苦しくなったり、胸が締めつけられるような感覚に襲われたりすることがあります。また、多くの場合、手足のしびれ、めまい、冷や汗、動悸といった身体症状も伴います。
この状態は、呼吸によって体内の二酸化炭素が急激に排出されることで、血液中の二酸化炭素濃度が低下し、血管が収縮することなどによって引き起こされるのです。
過呼吸は、単なる身体的なトラブルというよりも、心と密接に結びついています。特に繰り返し過呼吸が起こる場合、「パニック障害」が背景にある可能性が考えられます。パニック障害とは、理由もなく突然強い不安や恐怖に襲われる「パニック発作」を繰り返す病気で、その発作の中核的な症状の一つが「過呼吸」です。
また、「また発作が起きるのではないか」という予期不安により、さらに呼吸が乱れやすくなるという悪循環にも陥りがちです。これが慢性化すると、生活の中でさまざまな場面を避けるようになり、社会的な行動範囲が狭まってしまうこともあります。
一方で、過呼吸が一度だけ、もしくはごくまれに起こるという方もいます。これは、強いストレスや緊張、感情の高ぶりなどに対する一過性の反応として起きることがあります。たとえば、試験前、プレゼンの直前、対人関係で強いプレッシャーを感じたときなどに、身体が過敏に反応して過呼吸になるケースです。
このような場合、ストレスの元を取り除いたり、リラックスする習慣を取り入れることで、自然と症状が収まることが多いとされています。しかし、もしこれが繰り返されるようであれば、心のケアを見直すタイミングかもしれません。

過呼吸が起きた際には、まず「落ち着くこと」が最も大切です。症状が出ているとき、私たちは無意識に呼吸に意識を集中させすぎてしまい、そのことでかえって過呼吸が悪化してしまうことがあります。
過換気症候群という言葉には、「繰り返す」というニュアンスが含まれることもあります。過呼吸を何度も経験していると、「また起きるのではないか」という不安(予期不安)が強くなり、実際にその不安がさらなる発作を引き起こしてしまうことがあるのです。
こうした予期不安や、特定の場所や状況において過呼吸が起きやすい傾向は、パニック障害と非常によく似ています。両者は厳密には異なる診断名ではありますが、症状やメカニズムにおいて多くの共通点があります。
過呼吸が一度きりであれば、ストレスや疲労による一時的な反応であることが多いですが、繰り返す場合には、心療内科や精神科への受診を検討しましょう。
特に、日常生活に支障が出るレベルで発作が起きていたり、「また起こるのではないか」という恐怖が頭から離れないという方は、治療によって改善が期待できる状態です。
もし背景にパニック障害があると診断された場合には、治療の道筋はある程度確立されています。
治療の中心となるのは、抗うつ薬(SSRIなど)を用いた薬物療法と、行動療法による「脱感作(だっかんさ)」の組み合わせです。不安を軽減する薬を使いながら、恐怖を感じる場面に少しずつ慣れていくという治療法です。
最初のうちは薬を中心とした治療を行い、症状が安定してきた段階で脱感作の比重を高め、最終的には薬を減らしていくという流れが一般的です。

過呼吸は「気のせい」でも「弱さ」でもありません。心と身体が発している大切なサインです。何度も繰り返してしまう場合は、その奥にある不安や緊張、日々のストレスが積み重なっている可能性があります。
その不安に一人で立ち向かうのはとてもつらいことです。しかし、適切なサポートを受ければ、過呼吸はきちんと改善が見込める状態でもあります。心療内科や精神科の門をたたくことも、今の自分を大切にする一歩です。
まとめ: