うつ病の治療を受けているものの、「なかなか活動量が増えずに困っている」と感じる方は少なくありません。気分の落ち込みや不安が軽減されても、生活の中で動き出す一歩が踏み出せない――それは決して「気の持ちよう」ではなく、病状の一部として多くの人が直面する壁です。この記事では、うつ病治療と活動量の問題について整理し、対策の一つとして「リワークプログラム」の活用についてもご紹介します。
うつ病は単なる「気分の落ち込み」ではなく、脳の働きに不調が生じることで、感情や思考、行動に影響が出る病気です。主な背景としては、脳内物質であるセロトニンの不足などが知られています。
うつ病の治療には、以下の3つの柱があります。
うつ病には病状の進行に応じた段階があり、それぞれに応じた対応が求められます。
実は多くの方が、回復期やリハビリ期に入ってから活動量が思うように増えず、時間だけが経過してしまうという課題に直面します。これは決して珍しいことではなく、うつ病の特徴の一つです。
徐々に改善する人も多いですが、「一歩が出ない」「何かを始めようと思っても体が動かない」という状況が長引くと、停滞感や自己否定感を抱えやすくなります。
うつ病治療の中で、「動くことで意欲がわいてくる」という行動活性化の考え方があります。たとえ気分がすぐれなくても、まず何かをやってみることで脳が刺激され、やる気や前向きな感情が生まれやすくなるというものです。
しかし、実際には「その一歩が踏み出せない」ことが多々あります。意欲が低下している状態で、自分から行動を決めて実行するのは非常に困難です。こうした状況が続くと、いわゆる「膠着状態」となり、長期間活動が増えないこともあります。

活動の第一歩が踏み出せない場合、自分で計画して行動するのではなく、「あらかじめ決められた枠組み」に従って動くだけにするという方法があります。これによって、意欲の低下に左右されず、動くことそのものに専念しやすくなります。
例えば:
このように、行動の「型」を作っておくことで、行動を開始するハードルを下げることができます。

「リワーク」とは、主に休職中の方を対象とした復職支援のためのリハビリプログラムです。多くは医療機関や福祉施設で実施され、定期的に通所してグループで活動を行います。
効果のあるリワークですが、以下のような点には注意が必要です。
リワークプログラムが特に有効とされるのは、次のようなケースです。
うつ病の治療においては、まず休養をとって症状の改善を目指します。しかし、症状がある程度軽快しても、意欲の低下や無力感が強く残り、なかなか動き出せないという課題に直面することも少なくありません。
このとき、無理に「やらなければ」と自分を追い込むのではなく、動くための枠組みを作り、そこに身を置くことが効果的な対策になります。そして、その一つの有効な手段がリワークプログラムです。
うつ病と向き合うことは決して簡単なことではありません。しかし、自分に合った方法を少しずつ取り入れることで、回復への一歩を確かなものにすることができます。