緊張病(カタトニア)とは何か? 〜症状・原因・治療法をやさしく解説〜
こんにちは。今回は「緊張病」というテーマについて、できるだけわかりやすく丁寧にお話ししていきたいと思います。
このお話をぜひ聞いていただきたいのは、「緊張病って何?」「どんな症状があるの?」「治療法はあるの?」といった疑問をお持ちの方です。
この内容では、緊張病とはどういう病気なのか、どのような症状が見られるのか、そしてどのように治療されるのかという点について、一つずつ詳しく解説してまいります。
緊張病ってなに? ―誤解されがちな名前の正体
まず、「緊張病」とは何かという点から始めましょう。この病名を聞いたとき、多くの方は「人前に出ると緊張してしまう症状」や「極度のあがり症」などを思い浮かべるかもしれません。しかし、それは誤解です。
緊張病は医学的には「カタトニア(Catatonia)」と呼ばれる病気で、精神運動異常を中心とする症候群の一つです。2012年までは「統合失調症」の一部として分類されていましたが、現在ではDSM-5(精神疾患の診断マニュアル)において独立した疾患カテゴリとして扱われています。
つまり、緊張病とはただ単に「緊張しやすい」という意味ではなく、精神・神経・身体のさまざまな病気に伴って現れる、特殊な運動や行動の障害を伴う症状群なのです。
緊張病の代表的な12の症状
緊張病には多岐にわたる症状がありますが、今回はその中でも代表的な12の症状について紹介いたします。これらのうち3つ以上が認められると、診断の基準を満たすとされています。
- カタレプシー
他人によって取らされた姿勢を、そのまま保ち続ける症状です。たとえば、腕を持ち上げられた状態で固まってしまい、自分の意思では動かせなくなるような状態です。
- 蝋屈症(ろうくつしょう)
筋肉が硬直し、動きが極端に鈍くなる、あるいは自分の意思で体を動かせなくなる症状です。抵抗があるかのように、ゆっくりとしか動かないことも特徴です。
- 昏迷(こんめい)
無言・無動・無反応な状態が続き、周囲の刺激に対して全く反応を示さないような深い沈黙状態を指します。
- 反響言語
相手の言葉をオウム返しのように繰り返す現象です。質問に対して答えるのではなく、言葉をそのまま繰り返します。
- 無言症
発言が著しく困難になる、もしくはほとんど声を出せない状態を指します。本人の意思ではなく、言葉が出せないという状況です。
- 拒絶症
特に理由なく人の言葉や動作を拒絶したり、指示に従おうとしない行動です。感情の伴わない拒絶であることが特徴です。
- 衒奇症(げんきしょう)
動作や表情が不自然で芝居がかったように大げさになる症状です。わざとらしく感じられる態度をとることがあります。
- 常同症(じょうどうしょう)
同じ言葉や動作を意味なく繰り返し続ける状態です。たとえば、何度も同じフレーズをつぶやいたり、手を振る動作を繰り返したりします。
- 不自然な姿勢
明らかに苦しい姿勢やバランスの悪い体勢をとったまま、長時間その状態を保つというものです。
- しかめ面
顔をしかめたような表情を常にしている状態です。怒っているようにも見えることがあります。
- 興奮
外的な刺激や理由がないのに突然激しい興奮状態になることです。暴れたり、大声を出したりすることがあります。
- 反響動作
周囲の人の動作を無意識にまねしてしまう症状です。たとえば、誰かが手を振ると、それに合わせて自分も手を振るといった行動が見られます。
緊張病の原因は? 3つの背景疾患に注目
緊張病は単独で発症することはまれで、他の病気に付随して現れる症候群とされます。原因となる主な疾患は以下の3つのグループに分類されます。
- 精神疾患
統合失調症、気分障害(うつ病、双極性障害)、自閉スペクトラム症などが含まれます。特に気分障害に伴う緊張病の症例は比較的多いとされています。
- 神経疾患
てんかんやパーキンソン病などの神経系に関連する疾患も、緊張病を引き起こす原因となることがあります。
- 身体疾患
自己免疫性疾患や感染症(例:脳炎など)も緊張病の原因となりえます。こうした疾患では、脳の機能に影響を及ぼすため、精神運動的な異常が生じやすくなります。
緊張病の治療法は? ―薬物と電気けいれん療法(ECT)
治療に関しては、以下の2つが主な方法とされています。
- 薬物療法
緊張や不安の緩和を目的とした抗不安薬や、場合によっては抗精神病薬が用いられます。薬の選択は症状の原因疾患や個人差によって変わります。
- 電気けいれん療法(ECT)
耳慣れない治療法かもしれませんが、即効性が高く、効果が期待できる方法として認められています。頭部に電極を装着し、電気刺激を加えることで脳の活動を調整します。週に数回の頻度で施行され、重度の症状に対して有効とされています。
治療の期間には個人差があり、数週間で改善が見られる場合もあれば、数か月〜数年かかることもあります。
おわりに ―正しい理解と早期の対応が鍵
緊張病は、あまり知られていない病気かもしれませんが、決して珍しいものではありません。早期に気づき、適切な治療を受けることで、症状は大きく改善する可能性があります。
もしご自身や身近な方に、今回紹介したような症状が見られる場合は、医療機関への相談をおすすめします。精神科や心療内科の専門医に相談することで、適切な対応が可能になります。
緊張病についての理解が少しでも深まったなら幸いです。ご視聴、ありがとうございました。
※この記事は医療情報をわかりやすく伝えることを目的としており、診断・治療を代替するものではありません。必ず医師の指示を仰いでください。