心電図は、心臓の電気活動を記録して不整脈や心疾患を診断するための不可欠な医療機器です。
特に、不整脈の中で最も多く見られる期外収縮は、心臓の電気的なリズムが乱れた状態を示します。この中でも「心室性期外収縮(PVC)」と、その進行形である「ショートラン(短期心室頻拍)」は、患者の予後に大きく影響する可能性があるため注意が必要です。
本記事では、これらの違いを心電図の特徴をもとに解説し、医師に報告すべきケースや看護師の対応について詳しく説明します。

心臓では、洞結節という部位から規則正しい電気刺激が発生し、刺激伝導系を通じて心臓全体に伝わることで、効率的な収縮が行われます。
しかし、PVCでは、洞結節以外の心室から異常な電気刺激が発生し、通常よりも早いタイミングで心室が収縮します。これが心電図に以下の特徴的な波形として現れます(図参照):
• P波の消失:PVCは心室由来の電気刺激であるため、心房収縮を示すP波がありません。
• QRS波の幅が広い:PVCでは刺激伝導系を経由しないため、通常よりも時間がかかり、QRS波が広くなります(0.12秒以上)。
• 不規則なリズム:正常な心拍に突然PVCが混ざり、リズムが一時的に乱れます。

PVCが単発で発生する場合、患者は「胸がドキッとする」「脈が飛ぶ」といった軽微な自覚症状を感じることがあります。しかし、頻発する、または連続して発生すると、心臓の拍出量が低下し、以下のような症状を引き起こすことがあります:
• 動悸やめまい:心臓の効率が低下し、血流が不十分になるため。
• 血圧低下:有効な血液の送り出しが妨げられるため。
• 意識障害:重症例では脳への血流が不足する可能性があります。
ショートランとは、PVCが3連発以上続いた状態を指します。心室性頻拍(VT)の一種で、持続時間が30秒未満のため、「非持続性心室頻拍」とも呼ばれます。心電図上では以下のように現れます:
• PVCが連続して3~5拍以上:リズムが不規則になり、連発するPVCが確認されます。
• QRS波の幅が広い:PVCと同様、刺激伝導系を通らないため波形が広くなります。
• 突然の出現:正常なリズムの中に急に現れることが特徴です。
ショートランは、心室頻拍や心室細動(VF)といった致死性不整脈に進展するリスクを持つ重大な状態です。特に、心電図でR on T現象(PVCのR波がT波の頂点付近に重なる現象)が確認された場合、心停止に至る可能性が高いため、緊急対応が必要です。
PVCの重症度を評価するために用いられるのが、LOWN分類(ラウン分類)です。この分類は、PVCの出現頻度や形状、連続性を基準にグレード0から5までに分けられています。
<報告が必要な基準>
• グレード3以上:PVCが多形性である、または頻発している場合。
• グレード4以上:PVCが連発(2連発以上)またはショートランが確認された場合。
• R on T現象(グレード5):心停止リスクが高いため、即時報告が必要です。
心電図モニターは、不整脈を検知するアラーム機能を備えています。
以下は、よく見られる不整脈アラームの一覧です:
<活用時の注意点>
モニターは誤検知や感度不足が起こることがあります。そのため、必ず波形を目視確認し、アラームの有無にかかわらず、患者の状態を総合的に判断する必要があります。

• 器質的疾患:心筋梗塞、虚血性心疾患、心筋症。
• 電解質異常:特にカリウムやマグネシウムの異常。
• 薬剤性:特定の薬剤の副作用。
• その他:ストレス、睡眠不足、過労、喫煙など。
心室性期外収縮(PVC)とショートランは、患者の心臓機能に大きな影響を与える可能性があるため、注意深い観察が必要です。
特に、頻発するPVCやショートランの出現、R on T現象などは、迅速に医師へ報告し適切な治療を受けるべき状態です。
心電図モニターのアラームや波形を活用しつつ、患者の全身状態や背景因子を評価することが、看護師の重要な役割となります。